「NVIDIA社が技術でリードしている人工知能(AI)や仮想現実(VR)は、今黎明期の中にある。さまざまな要求が噴出する成長期に入るのはこれからだ」とIHSテクノロジーの大山 聡氏はいう。
新しい技術トレンドが大きな産業へと成長していく過程で、強力な先導力を発揮して黎明期の方向性を示す企業と、数多くの関連企業を支える基盤を固めて成長期に君臨する企業が別になる場合がある。パソコンでのApple社(当時はApple Computer社)とWintel連合、インターネットのブラウザで天下争いをしたNetscape Communications社とMicrosoft社は、まさにこうした関係にあった。もちろん、黎明期をリードした企業が、成長期も強さを継続できた例もある。スマートフォンでのApple社は、その代表例か。
現在のNVIDIA社が、数々の魅力的な応用で技術をリードする時代の寵児であることは間違いない。その強みは成長期にも通用するのか、もしくは成長期に合わせて技術の指針を一変させるのか。NVIDIA社の行方を探る今回のテクノ大喜利、7人目の回答者として、大山氏が、直近の競合企業とこれからの競合の争点と勝敗を決める論点について考察する。
(記事構成は、伊藤元昭=エンライト)
IHSテクノロジー 主席アナリスト
1985年東京エレクトロン入社。1996年から2004年までABNアムロ証券、リーマンブラザーズ証券などで産業エレクトロニクス分野のアナリストを務めた後、富士通に転職、半導体部門の経営戦略に従事。2010年より現職で、二次電池をはじめとしたエレクトロニクス分野全般の調査・分析を担当。