NVIDIA社のGPUの応用分野の中で、ビジネス上の地位を確立するための天王山となるのは自動運転車だろう。要求される技術の先進性もさることながら、高い信頼性が要求され、なおかつユーザーである自動車業界の投資意欲が極めて高い。ユーザー企業の信頼を勝ち得えることができれば、将来の他分野での飛躍の礎となることだろう。そして何より、市場が巨大だ。

 NVIDIA社のGPUは、とても汎用性が高いが故に、数多くの成長市場への応用が広がっている。しかし、それぞれの応用市場を個別に見ると、GPUの利用が最適なのかといえば明確な答えが出ていない。自動運転車での適性もまた同様である。競合企業の目線からNVIDIA社の行方を探る今回のテクノ大喜利、2人目の回答者はアーサー・D・リトルの三ツ谷翔太氏である。自動運転車での同社が抱えているリスクについて考察する。
(記事構成は、伊藤元昭=エンライト

三ツ谷翔太(みつや しょうた)
アーサー・D・リトル(ジャパン) プリンシパル
 世界最初の経営戦略コンサルファームであるアーサー・D・リトルにて、エレクトロニクス産業を中心とした製造業に対する新規事業戦略・研究開発戦略・知財戦略の立案支援、ならびに経済産業省を中心とした官公庁に対する産業政策の立案支援に従事。

【質問1】NVIDIA社の最大の競合はどこだと思われますか。
【回答】自動運転領域におけるルネサス エレクトロニクス

【質問2】最大の競合の視点から、NVIDIA社のビジネスの弱点はどこにあると思われますか。
【回答】 エコシステム形成の不得手と、特定アーキテクチャーへの依存

【質問3】NVIDIA社に対抗するための戦略・施策としてどのようなものがあると思われますか。
【回答】顧客によって“よりオープン”なイノベーションの推進