2017年中には、人工知能(AI)処理を高速化することをうたったAIコアを製品化したとする発表がたくさんあった。また、AIを活用して予知保全を実現するITソリューションの発表も多くあった。こうした発表を行った企業の中の数社は、次のような言葉を口にして自社製品の優位性を訴求していた。「うちの製品は、実際に動かすことができます。そして、額面通りの効果を期待できます」。
こうした言葉が訴求点となる背景には、AI関連の技術や製品の発表の中に、多くの未完成品や未検証品が紛れていた現状がある。中には、実態を伴わないブラフ(はったり)と呼べるような技術発表も少なからずあるらしい。
クラウドファンディングの中には、期待をあおり、資金を集めるだけ集めたあげく、実際には完成しない製品が数多くある。AIの世界では、同様のマーケティング先行型ビジネスを大企業が展開している場合がそうだ。AIに対するユーザー側の大きな期待に応えないと見向きもされなくなる恐怖感から、構想中の技術を「エイや」とばかりに発表してしまうのだという。こうした技術発表を信じて振り回されたユーザーの中には、AI自体に幻滅してしまうケースも見られる。
「大喜利回答者、2018年の注目・期待・懸念」をテーマに、各回答者が注目している2018年の動きを挙げていただいている今回のテクノ大喜利。5番目の回答者は、テカナリエの清水洋治氏である。同氏は、期待先行、話題先行の技術応用の気運にクギを挿し、2018年は冷静で的確な状況判断を下すことの重要性を訴えている。
テカナリエ 代表取締役 技術コンサルタント