「やってみなはれ。やらなわからしまへんで」。これは、サントリーの創業者である鳥井信治郎氏の有名な言葉だ。新しいことに挑戦しようとして、周囲から反対されるたびに口にしていた言葉だという。

 今、電子産業の企業が取り組むべきことと、取り組む際の拠り所となる手法は、かつてないほど明確になっていると言える。人口爆発や高齢化問題、環境問題など、技術によって解決すべき社会問題は山積している。そして、IoTや人工知能(AI)など、そうした社会問題の解決に活用すべき技術もハッキリしている。後は実践あるのみだ。

 また、ものづくり、金融、医療、建設、物流、小売り、農業など、ありとあらゆる分野で、IoTやAIの活用による社会問題の解決につながるビジネス・イノベーションの創出が求められている。ただし、頭ではイノベーションの実践の必要性は分かっているが、既存ビジネスのしがらみや仕事の古い定石、目先の雑務に追われて、実際の取り組みに二の足を踏む企業は多いのではないか。

 「大喜利回答者、2018年の注目・期待・懸念」をテーマに、各回答者が注目している2018年の動きを挙げていただいている今回のテクノ大喜利。3番目の回答者は、アーサー・D・リトルの三ツ谷翔太氏である。同氏は、明確になった取り組み課題と指針に基づいて、各企業がイノベーションを実践する際、何が真の課題になるのか。2018年に各企業が取り組むべきこととして指摘した。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
三ツ谷 翔太(みつや しょうた)
アーサー・D・リトル(ジャパン) プリンシパル
三ツ谷 翔太(みつや しょうた)  世界最初の経営戦略コンサルファームであるアーサー・D・リトルにて、エレクトロニクス産業を中心とした製造業に対する新規事業戦略・研究開発戦略・知財戦略の立案支援、ならびに経済産業省を中心とした官公庁に対する産業政策の立案支援に従事。
【質問1】2018年に産業や社会に大きなインパクトを与える注目すべき動きは何ですか?
【回答】エレクトロニクスによる社会革新が大きく動き始める
【質問2】長期的観点から発展や成長、ブレークスルーの登場を期待していることは何ですか?
【回答】技術的なブレークスルーだけでなく、イノベーションの起こし方のブレークスルーに期待
【質問3】2018年に産業や社会へのネガティブな影響を及ぼしそうな懸念点は何ですか?
【回答】現行規制への過度な身構えによる社会革新の減速