2017年の電子業界は、好景気の中にも新たなパラダイムへの着実な移行が感じられる年だった。
NAND型フラッシュメモリーの急激な需要増などによって、半導体業界は歴史上まれに見る好況に沸いた。また、Industry 4.0に伴う設備投資や新興国に移っていた製造拠点の本国回帰が進み、ものづくり産業での設備投資が活発化。日本企業のお家芸とも言えるファクトリーオートメーションや半導体製造装置の分野は、空前の好景気となった。
その一方で、人工知能(AI)やIoTを応用する動きが、さまざまな業種に広がり、「X-Tech」と呼ばれる技術を活用したビジネスイノベーションを創出する動きが活発化してきた。さらに、日本の基幹産業である自動車産業では、欧州から世界へと突然広がったEVシフトへの迅速な対応が迫られている。2018年、こうした状況と動きを受けて、一体どのような出来事が起こるのだろうか。
2018年最初のテクノ大喜利では、「大喜利回答者、2018年の注目・期待・懸念」をテーマに、各回答者が注目している2018年の動きを挙げていただいた。1番目の回答者は、微細加工研究所の湯之上 隆氏である。同氏は、疑う余地がなくなった中国半導体メーカーの本格的な台頭と、それに対抗する世界の半導体業界の巨人たちとの攻防に注目した。加えて、その狭間で生きることになる日本のエンジニアを取り巻く環境と日本企業の経営者に向けた提言についても言及する。
微細加工研究所 所長