米Amazon Web Services(AWS)は2017年11月29日(米国時間)、データベース(DB)のクラウドサービスの機能を大幅に拡張した。リレーショナルDB(RDB)サービスの「Amazon Aurora」でデータセンターをまたいだマルチマスター構成を可能にしたほか、グラフDBのサービスである「Amazon Neptune」を加えた。

 DBクラウドの機能強化は米ラスベガスで開催中の年次カンファレンス「AWS re:Invent」で、同日に実施したAWSのAndy Jassy CEO(最高経営責任者)による基調講演で発表した(写真)。

写真●AWSのAndy Jassy CEO(最高経営責任者)
写真●AWSのAndy Jassy CEO(最高経営責任者)
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 「MySQL」や「PostgreSQL」の互換DBをサービスとして提供するAmazon Auroraに関しては、マルチマスター構成を実現する「Aurora Multi-Master」と、Auroraの処理性能を自動的に伸縮できる「Aurora Serverless」という2つの機能を追加した。

AZや大陸をまたいだ災害対策を実現

 Amazon Auroraはこれまでも、DBのレプリカ(複製)を異なるAZ(Availability Zone)やリージョンにまたがって作成することで、障害に備えたり、DBからの読み込みを高速にしたりすることが可能だった。しかし、従来の複製は「リードレプリカ」であり、書き込みができなかった。このためマスターDBがダウンすると、DBの更新を継続できなかった。

 これに対してAurora Multi-Masterでは、複製したDBもマスター扱いになる。マスターDBがダウンしたとしても、他のDBを使って更新を継続できる。マルチマスター構成は当初、AZをまたいで実現でき、2018年以降にはリージョンをまたいだマルチマスター構成も可能になる。リージョンが丸ごとダウンしたような場合であっても更新を継続できるため、システムの可用性が大きく高まる。

 NoSQLサービスである「DynamoDB」でも、リージョンをまたいだマルチマスター構成を実現する「Global Tables」という機能を搭載した。自動バックアップサービスの「DynamoDB Backup and Restore」も追加している。

 リージョンをまたいだDBのマルチマスター構成は、米Googleの分散RDBサービス「Cloud Spanner」や米MicrosoftのDBサービス「Azure Cosmos DB」なども実現済み。クラウドのDBサービスは「惑星規模のスケーラビリティ(拡張性)」を持つのが「当たり前」になったと言えそうだ。