米Qualcommは2017年11月8日(米国時間)、英Armのアーキテクチャを採用したサーバー用SoC(System on a Chip)「Centriq 2400」の出荷を開始したと発表した。QualcommのPaul Jacobs会長は米サンノゼで開催した記者会見で「10ナノメートルのプロセスで製造された世界初のデータセンター向けチップだ」と強調。米Intelの「Xeon」に挑戦する姿勢を見せた(写真1)。

写真1●米QualcommのPaul Jacobs会長
写真1●米QualcommのPaul Jacobs会長
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 Centriq 2400はQualcommが独自に開発したCPUコア「Falkor」を最大48個搭載したサーバー用SoCで、64ビット命令セットである「ARMv8」に対応。398平方ミリメートルのダイに180億個以上のトランジスターを搭載する。半導体の製造は韓国サムスン電子だ。48コアを搭載する「Centriq 2460」、46コアの「Centriq 2452」、40コアの「Centriq 2434」の3製品がある。価格は、48コアのCentriq 2460で1995ドルなど。

 サーバー用のARMプロセッサはこれまで、「消費電力は少ないが非力」という印象があった。しかしQualcommの子会社である米Qualcomm Datacenter Technologies(QDT)のAnand Chandrasekherシニア・バイス・プレジデントは、最大2.6GHzで動作するCPUコアを48個搭載するCentriq 2400の性能は、Intelが2017年第3四半期に出荷したばかりの「Xeon Scalable Processor」に匹敵すると主張した(写真2)。

写真2●Xeonとの性能比較を説明するAnand Chandrasekher氏
写真2●Xeonとの性能比較を説明するAnand Chandrasekher氏
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性能は同等で価格は半分以下

 Qualcommが、48コアを搭載しTDP(熱設計電力、実使用上の最大消費電力)が120WであるCentriq 2460と、24コアを搭載しTDPが150Wである「Xeon Platinum 8160」の性能を比較したところ、整数演算のベンチマークである「SPECint」の結果でCentriqがXeonを7%、浮動小数点演算のベンチマークである「SPECfp」の結果でCentriqがXeonを13%、それぞれ上回ったとしている。

 同社がこの2モデルを比較したのは、プログラムの実行単位である「スレッド」の数がどちらも48であり、TDPの値も近いためだ。しかし両者の価格は大きく異なる。Centriq 2460の価格が1995ドルに対し、Xeon Platinum 8160の価格は4700ドルである。