サンフランシスコ市内の交通渋滞が深刻化している。同市交通局によると、市内での車の動きは以前よりも30%遅くなっているという。実際、最近サンフランシスコに出かけると、以前と比べていやに車が多く、1日を通して道路が混んでいると感じる。路上が混んでいて、ノロノロとしか動けなくなっているのだ。

 こうした渋滞の原因とされているのが「Uber」や「Lyft」などの配車サービスだ。交通当局の推定によると、サンフランシスコ市内には4万5000台の配車サービスのドライバーがいるという。先日、サンフランシスコ市内でLyftのドライバーに尋ねたところ、最近は客を取るのがどんどん難しくなっているそうだ。以前に比べて同じ地域を巡回している車が増え、配車の注文が自分のところにやって来ないのだ。サンフランシスコ近郊地域から市内にやって来るドライバーも多い。

写真●「Lyft」の配車サービス
写真●「Lyft」の配車サービス
出典:米Lyft
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 利用者の側から見ると、配車サービスのおかげで移動が本当に楽になった。サンフランシスコは都市とは言え、数年前はタクシーを見つけるのが難しかったのだ。日本からやってくる人たちが、それでいつも苦労していた。

 だが、UberやLyftが登場してからは、オンデマンドですぐ車が来るし、このサービスによって、シリコンバレーとサンフランシスコをつなぐ「Caltrain」のような中距離型の公共交通手段の利用者も増えている。市内で多少不便な駅に降り立っても、配車サービスを使えば目的地に難なく到着できるからだ。料金はタクシーよりずっと安い。

タクシー1800台に対して配車サービスは4万5000台

 ところが都市側から見ると、その便利さはひどい渋滞を引き起こしているということである。市内で認可されているタクシーの数は1800台なので、4万5000台はかなりの車の増加を引き起こしているのが分かる。市当局は、現状を正確に把握するためにUberやLyftなどに走行データを提供するように求めているのだが、入手できない。

 実は、データは配車サービスを規制するカリフォルニア公益事業委員会(CPUC)という州政府機関に提出されているものの、競合問題から両社ともデータの公開に抵抗しており、CPUCが秘密保持権を与えたという背景がある。