地球上のあらゆるデータが入手できる「データ版のAmazon.com」になりたい――。そう語るスタートアップがある。米Planet OSだ。様々なビッグデータをAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)経由で利用可能にするクラウドを提供している。

 インターネットでデータを公開する際に、プログラムからデータを取り出すためのAPIを用意するという取り組みは、政府による「オープンデータ政策」などで一般的だ。例えば日本でも国土交通省や経済産業省など様々な省庁が統計データなどを提供するAPIを公開している(国によるカタログサイト)。

 かつてデータが「テキスト形式(CSV形式)」などでだけ公開されていた頃には、「特定の地域、特定の期間だけのデータ」などを取り出すのは容易ではなかった。ユーザーはまずデータを全部ダウンロードして、その中から必要なデータを抽出する必要があったからだ。それに対して今は、ユーザーはAPIを呼び出すプログラムを記述することで、必要なデータだけを「XML形式」や「JSON形式」などでダウンロードできるようになった。

 Planet OSがクラウドサービスとして提供しているのは、「データをAPI経由で公開するのに必要なシステム一式」だ。日本の場合で言えば、各省庁はデータをAPI経由で公開するために、システムを個別に開発して対応していた。Planet OSが提供するクラウドサービスを利用すれば、個別にシステムを開発しなくてもデータをAPI経由で公開可能になるという。

APIでデータは「プログラマブル」になる

写真●米Planet OSのRainer Sternfeld CEO
写真●米Planet OSのRainer Sternfeld CEO
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 「テキスト形式のデータは、単なるデータでしかなかった。API形式でデータを取り出せるようになることで、データが“プログラマブル”になり、誰もがデータにアクセスしやすくなる」。そう語るのはPlanet OSの創業者兼CEO(最高経営責任者)のRainer Sternfeld氏(写真)。

 エストニア出身のSternfeld氏は世界海洋協議会(World Ocean Council)の役員を務めていた経験があり、「様々な政府機関が公開する地球観測データの扱いの難しさを痛感していた」という。地球観測データは大容量で種類も複雑。気象観測データのようなビッグデータを簡単に扱えるプラットフォームが必要だと考えて、Planet OSを起業した。