スマートフォン(スマホ)を操作できるジャケット「Project Jacquard」や、パーツが交換できるスマホの「Project ARA」、空間認識機能を備えたスマホの「Project Tango」、音声アシスタント搭載スピーカーの「Google Home」――。米Googleが2016年から17年にかけて、新しいIT端末を次々とリリースする。

 新しいIT端末のリリース計画は、2016年5月18日~20日に米マウンテンビューで開催した開発者会議「Google I/O 2016」で発表した()。これらの中でもProject Jacquard、Project Soli、Project Araはいずれも、Googleの先端技術研究部門「ATAP」が開発した技術だ。盛りだくさんだったGoogle I/O 2016での発表内容を詳しく見ていこう。

表●Google I/Oで発表された新型端末
技術名概要発売時期
Project Jacquard繊維にセンサーを織り込む技術「Levi's Commuter Trucker Jacket」を2017年春に発売
Project Soliジェスチャーで端末を操作できるようになる超小型レーダー技術省電力化した新しい開発版を2016年下期に公開
Project Araカメラなどを交換できるモジュラー型スマホ開発版を2016年下期に公開。2017年に製品版を発売
Project Tango空間認識技術を搭載したスマホ中国LenovoがProject Tango搭載スマホを2016年6月に発表予定
DAYDREAMAndroidスマホを挿入することで機能するVR(Virtual Reality)端末DAYDREAM対応スマホは2016年秋に発売。DAYDREAMの発売時期は未発表
Google Home音声アシスタント機能を搭載したスピーカー2016年下期に発売予定

 Project Jacquardは、Googleが2015年に発表した繊維にセンサーを織り込む技術。同技術を採用することで、スマホのユーザーインタフェースとして機能する「スマートジャケット」が実現可能になる。今回のGoogle I/O 2016で、米国の衣料大手Levi Straussがこの技術を使った「Levi's Commuter Trucker Jacket」を2017年春に発売すると発表した(写真1)。

写真1●Levi's Commuter Trucker Jacket
写真1●Levi's Commuter Trucker Jacket
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 Levi's Commuter Trucker Jacketは、ジャケットの袖の部分にセンサーが織り込まれていて、この袖がスマホのタッチパッドとして機能する。ユーザーはジャケットの袖の部分にタッチしたりなぞったりすることで、地図ナビゲーションアプリを操作する、音楽を再生する、電話の着信に応答するといったスマホの操作ができるようになる(写真2)。袖のボタンホールの部分に取り付ける「Jacquard Tag」が、Bluetoothを使ってスマホと通信する。Jacquard Tagを取り外せば、ジャケットの洗濯も可能だ。

写真2●Levi's Commuter Trucker Jacketで電話着信に応じたところ
写真2●Levi's Commuter Trucker Jacketで電話着信に応じたところ
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