平面(2D)での微細化が進んできたNANDフラッシュメモリー。最近では微細化に限界があるとして、NANDを積層して(上方向に積み上げて)面積当たりの容量を増やす「3D NAND」に移行しようとする動きが活発化していました。

 ところがそんな状況に変化が出ています。業界で先駆けて3D NANDの開発・製造に取り組んできた韓国Samsung Electronics社が、従来の2D NANDへの回帰の動きを見せているのです。

Samsungが2D注力を宣言

 例えば、2016年2月に開催された半導体の国際会議「ISSCC 2016」では、14nmで作った2D NANDの試作品を発表しました(関連記事)。その後、顧客向け説明会で、10nm世代(1znm)の2D NANDへの注力を宣言しました注1)

注1)NANDメーカーによって若干異なりますが、一般に1z nmとは10n〜15nmを指します。

 もちろんSamsung社にとっても、現状は2D NANDが主力です。量産は16nmの製造プロセスで行い、その先の15nmの製造プロセスで作った試作品も発表済みです。

 ただ、競合他社が15nmや16nmの世代の2D NANDを最後に3D NANDへ移行すると宣言していることから、競合に先駆けて3D NANDに注力してきたSamsung社は、2D NANDの微細化を止め、てっきり3D NAND一本に絞っていくものと思っていました注2)。ですが、最近のSamsung社の動きは、こうした筆者の考えを覆すものでした。

注2)東芝・Westin Digital(SanDisk)社連合は15nmを、Intel社・Micron社連合は16nmの製品を出荷中。このうち、東芝やMicron社はそれぞれ、これらが2D NANDとしては最後、と宣言しています。