表1
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 筆者が某外資系企業に入社したころの話です。ある新製品の顧客向け説明資料に、「現時点で実現している機能」と、「次のバージョンで実現予定の機能」、そして「(具体的にいつか分からないが)将来のバージョンで実現したい機能」の3つが、巧妙(?)に一緒になっているのを見て、辟易したことがあります。理想は高いのですが、足元はまだその理想からは程遠い、という状況でした。

 最近、そんな経験がフラッシュバックした言葉に、「SDS(Software Defined Storage」があります。

定義すらままならない

 SDSは、異なるストレージの集合体をソフトウエアで定義した1つの大きな仮想的ストレージです。ハードウエアの違いを超えて、この仮想ストレージにおけるデータの管理や保護、データ格納場所の整理、データの入出力などを効率化できるといいます。

 このように、SDSはイメージ的には何となく理解できますが、実はストレージ業界としての共通定義はほとんどありません。ストレージメーカーが各社、しきりに「SDS対応」をうたっているにもかかわらず、です。現在、ストレージの業界団体であるSNIAが発表したものが、唯一といっていいでしょう。内容は表1のようになります。

 ご覧になってお分かりになるように、表現が非常に抽象的です。あるセミナーで「もう迷わないSDSの選び方」という文言を見たことがありますが、ユーザーの立場から見れば、SNIAの定義では、製品選びに必要な評価基準すらおぼつかない水準というのが、正直なところではないでしょうか。つまり、SDSの具体化は端緒についたばかりというのが現実です。