電子情報技術産業協会(JEITA)では、電子情報産業の「本年の世界生産の見込み」や「翌年の見通し」などについて調査を行い、毎年12月に報告書「電子情報産業の世界生産見通し」を取りまとめている。JEITAの会員企業を対象に製品ごとの業界全体の生産額についてアンケート調査を実施し、その分析結果を報告するものである(関連発表資料)。

 最新版の電子情報産業の世界生産見通しは3部構成となっている。まずは、従来と同じく、電子情報産業の世界生産の2015年の見込みと2016年の見通しである。第2に新たな試みとして、過去10年の電子情報産業を総括し、その傾向を探った。今回の調査は、調査開始から10年の節目になるからだ。そして第3に、今回で6回目を迎える注目分野調査である。具体的には、CPS(cyber physical system)/IoT社会の到来を踏まえ、それに関係の深い3分野を調査した。本稿では、最新版の報告書から要点を抜粋して紹介する。

 分析結果を紹介する前に、我々を取り巻く経営環境について確認しておこう。下表にあるように世界経済は、IMF(国際通貨基金)の10月の発表によると、2015年の実質経済成長率は3.1%、2016年は3.6%と順調な成長が見込まれている。一方、日本は低めの数字ではあるものの、それぞれ0.6%、1.0%と緩やかな回復が見込まれている。新興国の減速が懸念されるが、概して良い経営環境である。

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