世界的な課題である紛争鉱物問題に対し、米国にとどまらず、EUにおいても関連規制を法制化する動きが見られる。紛争鉱物問題を取り上げる連載の後編では、現在検討されているEU規則案の概要を、米国紛争鉱物条項との対比も交えて紹介する(前編へのリンクはこちら)。

 産業界が米国金融規制改革法の1502条(紛争鉱物条項)で定められた義務を果たすために努力する中で、欧州でも紛争鉱物に関する法律を策定する動きがあります。

 欧州では、2014年3月にEUの行政執行機関で立法準備も行う欧州委員会(European Commission:EC)が、規則案(法案)やコミュニケーション(政策文書)などから成る紛争地域原産鉱物の責任ある取引に関する統合アプローチ案を公表しました。その約1年後の2015年5月には、EUの立法機関の一つである欧州議会(European Parliament:EP)が、ECの規則案に対する修正案を採択しました。EUの政策、規則案を米国の紛争鉱物条項との類似点、相違点を比較しながら、産業界への影響を考察してみます。