電子部品は広範な最終製品/設備に搭載され、機能的進化を支えています。さまざまな医療機器にも組み込まれており、それらの高機能化・小型化など多面的な貢献を果たしています。

 例えば、口から飲み込んで消化管を観察する“カプセル型内視鏡”は、撮影した画像を体外へ送信するため、小型カメラや小型の通信機能といった各種電子部品を搭載しています。また、検査したいところを確実に捉えるために位置や向きを制御する機能、電源の長時間化に対応するためのワイヤレス電力伝送など、さらなる高度化のための技術開発も進められています。今後の展開でも日本の信頼性の高い電子部品やモジュールが担う役割は少なくないと思われます。

 医療機器、ヘルスケア機器産業は、高齢化社会の到来や健康に対する意識の向上により、国内外で大きな成長が期待されています。それらは高度に電子化された機器として進化していることから、電子部品メーカーとしても、これらの機器に先進的かつ高信頼性を備えた電子部品を安定的に供給することが社会的使命であると考えています。

 JEITAの電子部品部会では、信頼性技術の更なる向上につながる活動を、技術・標準戦略委員会 部品安全専門委員会傘下の“信頼性技術強化WG”で進めています。医療機器分野については、昨年12月のJEITA通信で紹介した「電子部品のFMEA実施手順」の作成とともに、重要テーマとしています。

 本稿では、この度WG活動の成果物として発行した「医療機器用電子部品の信頼性ガイド」の内容をふまえて、医療機器への電子部品の関わりについて、信頼性という観点を中心に紹介していきます。

 この「信頼性ガイド」の全文は、JEITA・電子部品部会サイト内の「電子部品の信頼性技術強化」のページにて公開していますので、合わせてご覧いただければ幸いです。

医療機器用電子部品の信頼性向上のためのアプローチ

医療機器を取り巻く環境

 我が国の医療機器市場は、2014年に約2.8兆円の規模となっています。世界に目を向けても、高齢化の進展と新興国における医療需要の拡がりを受けて、約8%の市場成長率を維持しており、今後も拡大が見込まれています。

 政府は、医療機器の開発・事業化において、各地域における医工連携の取り組みを底上げすべく、開発初期段階から事業化に至るまで切れ目のないワンストップ支援を行っています。また、拡大が見込まれる医療機器の世界市場を見据えて、日本が強みを持つ診断技術及びロボット技術などを活用した、日本発の革新的医療機器・システムの開発を産学官連携により推進しているところです。