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 電子情報技術産業協会(JEITA)CE部会では毎年、フラットパネルテレビやBlu-ray Disc(BD)/DVD機器、音声機器、パーソナルコンピューター(PC)、タブレット端末など主要なAV機器およびIT機器を対象とした世界需要動向を調査し、報告書にまとめている注1)。本稿では、2016年2月に発行した最新版「AV&IT機器世界需要動向~2020年までの展望~」(詳細はこちらから)に掲載した内容から、フラットパネルテレビやPC、タブレット端末の2020年までの需要動向を紹介する。

注1)本報告書は「黒本」の愛称で呼ばれ、1991年の初版発行以来、2016年で26版目の発行となる。

堅調な成長を続けるフラットパネルテレビ世界市場

 2015年のフラットパネルテレビの世界需要は前年比103.9%の2億3224万台となった。日本および西欧においては需要の落ち込みが見られたものの、2014年のサッカーワールドカップ開催に伴い市場が活性化したブラジルやインドなどの新興国地域の伸長により、市場全体として需要は増加した。

 2016年以降は、新興国地域の成長鈍化の可能性、バックライトのLED化などの製品寿命の向上による買い替えサイクルの長期化という懸念もあるが、オリンピック開催などを契機として、新機能を求めて上位モデルへの買い替えが活性化し始めるとみられている。2020年には、世界市場は2億7167万台に成長すると見込んでいる。

 フラットパネルテレビ市場は、特に新興国地域で高い成長を見せており、同地域(日本と中国、米国、西欧を除く国や地域)での需要は2015年に前年比109.5%の8992万台となった。

 中でもインド市場は全地域において最大の伸長率となり、2015年は前年比125%の1614万台となった。インド市場は、テレビの世帯保有率が47.2%と低いものの言語が多数あるため700局以上のテレビ局があり、経済成長とともにテレビ市場の拡大も期待されている。生活習慣や倫理観など他国と若干異なる部分もあるが、テレビの普及率は他国と比べて低くなっていることから、今後は生活水準の向上とともにテレビの普及率も高まるとみられ、2020年まで18.1%の年平均成長率を維持する。

 なお、新興国地域の中にはテレビの買い替えに対する政府補助金施策を実施し、需要拡大につなげたところがある。例えば、メキシコは2014年に実施した施策で需要喚起に成功している。今後、補助金施策を利用して購入したテレビの買い替え需要はオリンピック後に本格化するとみられるが、新機能搭載の製品によりある程度の需要が前倒しされる可能性もある。

世界のフラットパネルテレビ需要動向見通し
世界のフラットパネルテレビ需要動向見通し
※その他の国・地域・・・中近東、中南米、東南アジア、ブラジル、ロシア、インド等
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