2017年6月26日、沖縄県北谷町で『ラストマイル自動走行の実証評価 出発式』が行われた。

 式典でのテープカットでは、北谷町の野国昌春町長の他、経済産業省の製造産業局自動車課、国土交通省自動車局技術政策課、そして産業技術総合研究所の関係者が参加した。
今回の実証試験は、内閣府が行う戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)や、同じく内閣府の国家戦略特区とは予算が別建てとなっており、主体は経済産業省となる。

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 『ラストマイル自動走行』は全国4カ所で実施されるが、このうち茨城県日立市での中型バスによるもの以外の3ケ所の事例では、今回初披露となった、スマートEカートを使用する。

 スマートEカートは、ヤマハ発動機製のゴルフカートをベースに産業技術総合研究所の発案で改良を加えた。ヤマハ発動機 技術本部 研究開発統括部の担当者によると、自動走行の基本的なシステムは、同社がすでに遊園地向けなどで販売している電磁誘導型である。

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 地中の深さ3cmから5cmの位置に直径10mm程度の同軸ケーブルを埋設し、そこに微小な電流を流して磁界を発生させ、それを車体前方の下部にあるセンサーで感知して自動操舵する。

仮に、外部から何らかの力が加わり、同センサーが地中からの磁界を感知できなくなると、その場で車両は停止する。カメラによる白線認識や、人工知能のよるディープラーニングなどを活用した自動運転に比べて、コストを大幅に抑えることができるのが特徴だ。

 車両の動力システムについては、同社製の量産型ゴルフカートと同じ。駆動方式は後輪駆動で、変速機はない。駆動用の電池は韓国製のリチウムイオン二次電池で電池容量は5.5kwh。この電池パックを後部座席の下に搭載する。満充電まで約6時間で、航続距離は約40kmである。

 この他、前席の下に12Vの鉛蓄電池があり、ウインカーの他に、車体のルーフ部分に装着されている走行をモニタリングするカメラや、車内のHMIなどの電源として利用する。