「IoT」「インダストリー4.0」「スマートファクトリー」といった言葉と共に、ドイツや米国が産官学を挙げて取り組む生産・製造プロセスの革新が注目されています。日本の製造業は、この情報技術活用の潮流に乗るだけでなく、これまでの強みの一つになっている生産技術の革新力、改善力を継続して磨き、競争優位性を確保していく必要があります。当然ですが、情報技術だけでは、モノが加工・組み立てされることはなく、「削る、磨く、固める、結合する…」といった機能を具現化するこれまでの生産技術とうまく連携することで初めてモノが出来上がるからです。

 また、近年のグローバル化に伴う海外生産シフトの中で、圧倒的なコストダウンや高効率を目標に、新工法の研究・開発や、マザー工場としての新規工程立ち上げ機能のみを国内生産技術部門に割り当てる方針の企業が増えています。そのため、国内拠点の生産技術者には、情報技術の活用と共に、先に述べた革新力・改善力の向上がより明確に求められています。

 今回登場する産業装置メーカーC社も同様に、主力製品のサイクルタイム短縮、コストダウンの実現が求められていました。本稿では活動当初、「今の工法は技術として成熟しており、できることはやり尽くしている」「量産工程の火消しに時間が取られて、じっくり考えていられない」と諦め口調で発言していた生産技術者が、コストダウン達成に向けてどのように取り組んだのかをご紹介します。