かつて脚光を浴びていた大手企業が業績転落し,海外企業に買収されるといったことが現実に起きている昨今。鈍化することのない市場ニーズの多様化,新興国の台頭に加え、他業種だと思っていたIT系企業をはじめとする競合の増加など,製造業を取り巻く環境は厳しさを増しています。その中でも各社は激しい開発競争に勝ち続けるべく、製品を着実にリリースしながらも業務改善にも取り組んでいます。社内で様々な取り組みが展開される中で、近年よく耳にするのがマネジャーやリーダークラスの疲弊です。仕事量の増加はもちろん、開発環境や価値観の変化に伴う部下育成の難しさが、もはや悲鳴レベルで聞こえてきます。

 本稿では、今後の屋台骨となる若手の技術力の低下を危惧した製造業A社が、属人的な人材育成や仕事のやり方からの脱却に取り組んだ軌跡をご紹介します。