中部大学 工学部 ロボット理工学科/大学院 工学研究科 情報工学専攻 教授の藤吉弘亘氏
中部大学 工学部 ロボット理工学科/大学院 工学研究科 情報工学専攻 教授の藤吉弘亘氏

機械学習や深層学習(ディープラーニング)の進展によって、画像認識の可能性が広がっています。画像認識の認識性能が大幅に向上するからです。技術者塾では「機械学習・深層学習を活用した画像認識技術の仕組みと最新動向」と題したセミナーを、2018年1月16日に開催する(詳細はこちら)。本講座で講師を務める藤吉弘亘氏(中部大学 工学部 ロボット理工学科/大学院 工学研究科 情報工学専攻 教授)に、機械学習や深層学習によって大きく変わりつつある画像認識技術について聞いた。(聞き手は、田中直樹)

――深層学習(ディープラーニング)の進展によって、画像認識の可能性が広がっています。

 自動運転、ロボット、スマートフォン、電化製品などの多岐にわたる分野で、深層学習の利用が進んでいます。深層学習は従来のアプローチと比べて、画像認識の認識性能が大幅に向上することから、大変注目されています。昨今では、画像と言語を融合したアプローチや、認識から生成へ、そして強化学習による動作獲得と深層学習の適用が広がっています。

――深層学習による画像認識で、今後重要になることは。

 深層学習による画像認識では、認識性能の向上だけでなく、学習によって獲得されたネットワークモデルを解析し、どうしてうまく動くのかを説明できる仕組みが必要です。また、ネットワークモデルの理解から調整することが可能となる仕組みの実現が期待されています。

 学習には大量のデータと教師ラベルのアノテーション(あるデータに関連情報を注釈として付与すること)が必要であり、この負荷を軽減するアプローチも必要となります。また、従来の機械学習でも解ける問題は多くあり、計算コストなども考慮して適材適所で機械学習を利用することが大事です。これらの目利きができる人材教育は重要な課題となっています。

――今回、特に力点を置いて説明するポイントは。

 今回のセミナーでは、従来の機械学習と深層学習による画像認識技術の基礎を詳しく解説した上で、最新動向を紹介します。また、認識だけでなく、生成モデル、一貫学習、強化学習などの新しい展開についても紹介し、今後の課題について紹介します。

 何でも深層学習で解くのではなく、様々な機械学習手法を理解した上で、目の前にある問題を適材適所で機械学習手法を選択して利用することが重要です。こうした選択、使い分けができるように、各技術の仕組みの理解に力点を置く予定です。

――今回のセミナーを受講することで、受講者はどのようなスキルを身に付けたりできるか、ご紹介ください。また、どのような方々に参加いただきたいですか?

 先ほど述べたように、何でも深層学習で解くのではなく、様々な機械学習手法を理解した上で、目の前にある問題を適材適所で機械学習手法を選択して利用できるスキルを身に付けることを目的とします。機械学習、深層学習による画像認識に興味がある方に受講していただきたいですね。