AI時代に求められる半導体の要素技術として、パッケージ技術に注目が集まっている。クラウドとエッジでは、半導体に求められることが異なるため、パッケージへの要求も変わってくる。日経BP社は「AI化に対応するFOWLP/FOPLP技術、実現へのシナリオ」と題したセミナーを、技術者塾として2018年1月16日に開催する(詳細はこちら)。本講座で講師を務める西尾俊彦氏(SBRテクノロジー 代表取締役)に、AI化に対応する半導体パッケージ技術について聞いた。(聞き手は、田中直樹)

――AI(人工知能)と半導体、そしてパッケージ技術の関係について教えてください。

SBRテクノロジー 代表取締役の西尾俊彦氏
SBRテクノロジー 代表取締役の西尾俊彦氏
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 企業の基幹業務のためのサーバーは、エンタープライズ(各企業の専用サーバー)からクラウドサーバー(クラウド)への切替が急速に進んでます。個人のスマホでも、WebサービスやSNSの利用が広がっていますが、そのバックではクラウドが活躍してます。

 クラウドAIは、AI業務をクラウドが行うサービス形態です。クラウド各社はAIソフトを用意し、企業や個人に対して魅力的なサービスを提供しています。例えば、米IBM社の「Watson」、米Amazon.com社の「Amazon Machine Learning」、米Microsoft社の「Azure Machine Learning」、さらには米Google社の「Could Machine Learning」などです。

 一方、エッジAIは、スマホがクラウドを介さないで動作する状態でAIアプリケーション(アプリ)を実行します。自動運転車は代表的なエッジAIになります。自動運転はクラウドとの接続による遅延を許容できないので、エッジでのAI動作を基本にして、クラウドAIはそのサポートに回る役割となります。スマホのAIでも、写真の整理や翻訳などWeb接続なしにアプリを実行できる環境を強化したり、クラウドAIとエッジAIが協調してより高度なAIサービスの実現を提供したりしようとしてます。

 クラウドAIとエッジAI。これらの進化の鍵を握るのが半導体です。半導体パッケージの役割は、クラウドAIとエッジAIで異なります。クラウドAIに対しては、サービスの実施に対してより高い性能を実現することが重要です。エッジAIに対しては、性能はもちろんのこと、それを熱制約の下で、バッテリー寿命を最大に持たせるなど、自らの環境を最適化した下でアプリの最高性能を実現することが求められます。

 これらの役割を実現するための技術を理解することで、アプリケーション側からは性能の可能性と限界が見えます。さらに材料や装置など関連分野においては、AI化の波に乗り、事業拡大戦略を進める上での知識が得られると思います。