電子機器のストレージとして欠かせないSSD。HDDとは異なる特性を持つ製品であるため、思わぬ結果を生じたりすることは珍しくない。SSDを使いこなすには、HDDとの違いを意識しながら、SSDの基本的な仕組みを理解することが必要だ。こうしたSSDを利用する上で必要な知識を学べる講座を、日経BP社は技術者塾として2015年12月16日に開催する(詳細はこちら)。HDDやSSDの故障解析を行い、品質向上のためのコンサルティングに長年携わってきたフィックスターズ ディレクターの浅野浩延氏に、講師をお願いした。同氏に、講座の狙いや効果、SSDを理解するためのポイントなどについて聞いた。(聞き手は、日経BP社 電子・機械局 教育事業部)

――SSDについて基礎から理解することで、どのような効果があるのでしょうか。

フィックスターズ ディレクターの浅野浩延氏
フィックスターズ ディレクターの浅野浩延氏

 まず、様々なSSDから選択するときの評価項目と尺度が明らかになることです。「安物買いの銭失い」や「宝の持ち腐れ」をしないということですね。

――SSDに関する知識や理解は、今後ますます必要とされるようになると聞きます。その理由は。

 第1に、SSDは使わざるを得ない機器だと思います。SSDとのスタンス(距離間)は業種や立場によって様々でしょうが、ほとんどの電子機器で必要になるでしょう。唯一の例外があるとすれば、すべてクラウドサービスに任せられるユーザーぐらいなのではないでしょうか。もちろんクラウドサービスにアクセスするための機器(モバイル端末)にはSSDが入っているわけですが、接点がモバイルしかないのであれば、SSDのことは知らなくても大丈夫だと思います。

 しかし、SSDの搭載されている機器を販売する立場や、コンピューター設備を管理する立場の方はそうはいきません。SSDメーカーに所属する人間が使うべき表現ではないかもしれませんが、SSDはある意味、「朽ちていくデバイス」です。そうであれば、うまく使いこなす、うまく使い倒すための知識は必要だと思います。

 第2に、自身の使い方がNANDメーカーやSSDメーカーの市場戦略に沿ったものである場合は問題ありませんが、そうでない場合は技術的妥協点を常に探す必要性が、今後ますます出てきます。そのために基礎から応用問題まで、一通り見ておく必要があると思います。