iPhone 7にFOWLPが採用されるなど、新しい半導体パッケージ技術が注目を集めている。5Gのモバイル通信に向けて、半導体にはさらなる進化が求められており、パッケージはその実現の鍵を握る可能性が高い。また、台湾TSMCのようなファウンドリー企業が台頭し、韓国Samsung Electronics社や米Intel社がファウンドリー事業で追随する動きを見せるなど、パッケージのビジネスモデルも大きく変わってきた。日経BP社は「5G時代の半導体を実現するパッケージ革命」と題したセミナーを、技術者塾として2017年1月20日に開催する(詳細はこちら)。本講座で講師を務める西尾俊彦氏(SBRテクノロジー 代表取締役)に、半導体パッケージの技術動向や、今後のニーズに対応するために何が必要かなどを聞いた。(聞き手は、田中 直樹)

――半導体パッケージについて、この1年の市場動向、応用動向をご紹介ください。

SBRテクノロジー 代表取締役の西尾俊彦氏
SBRテクノロジー 代表取締役の西尾俊彦氏
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 この1年で、半導体パッケージは著しく進化しました。理由は、スマートフォン(スマホ)のアプリケーションプロセッサー(AP)からHBM(High Bandwidth Memory)に至る、非常に微細な配線をできるだけ低コストで実現したいという動きが活発化したからだと思います。この状況は、2012年以前にモバイル分野でWide I/O DRAMに対する期待値が高まったのに似ていると思います。現在、「モバイルはFOWLPへ」「HBMは2.1D化へ」という流れが見えます。

――半導体パッケージについて、この1年の技術動向、技術トピックス、企業の勢力図や事業形態の変化についてご紹介ください。

 半導体後工程受託メーカー(OSAT:Outsource Assembly and Test)ではなくファウンドリーがパッケージ開発に本格的に参入してきたという点かもしれません。

 台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.)の「InFO」がその典型です。韓国Samsung Electronics社もそれに追随しようとしています。もともと垂直統合型の半導体メーカー(IDM:Integrated Device Manufacturer)として開発してきた米Intel社などは、同社のパッケージ技術「EMIB」をファウンドリーサービスに適用するつもりだと思います。

 これらは、2020年を超えてテクノロジーノードの進化が停滞する“ムーアの法則の終焉”に対する危機感と、その後の備えと考えられます。