IoT(Internet of Things)の利用拡大に伴って、低消費電力化、ひいては無線通信に必須の高周波IC(RFIC)の最適な回路設計が求められている。日経BP社は「RF CMOS回路技術の基礎と実際を学ぶ」と題したセミナーを、技術者塾として2016年12月16日に開催する(詳細はこちら)。本講座で講師を務める馬場清一氏(豊橋技術科学大学研究推進アドミニストレーションセンター 科学技術コーディネーター)に、RF CMOS回路の技術動向や、前回(2015年12月)のセミナーにはなかった新たに加わる内容などについて聞いた。(聞き手は、田中直樹)

――IoTの利用拡大に伴い、無線通信に必要なCMOS RFIC、RF CMOS回路設計について、この1年の市場・技術・応用動向をご紹介ください。

 我が国の科学技術イノベーション総合戦略において、ICT分野の研究開発推進とその展開が求められています。ITS(高度道路交通システム)、センサーネットワーク、ウエアラブル端末などをIoT機器として利用していくことになります。無線通信にはCMOS RFICが数多く用いられると考えられます。

 IoT応用においては、低消費電力化、ひいてはCMOS RFICの最適な回路設計が必要です。また、周波数の資源不足を解消するために、無線通信にはミリ波帯の利用が検討されています。

――前回のセミナー(2015年12月開催)にはなかった、新たに加わる内容があれば、教えてください。

 今回のセミナーでは低雑音増幅器(LNA)や電圧制御発振器(VCO)を中心にその回路技術を説明します。オーソドックスなRF回路であり、用途に応じた高精度な設計が求められる回路です。こうした事情を踏まえて、LNAの低雑音化については、定雑音円を踏まえた設計方法を追加しました。また、VCO/PLLフィードバック制御系の解析方法を追加しました。