電子機器用電源として当たり前となったスイッチング電源だが、電源回路の設計技術者に求められることはますます増えている。必要とされる電圧、電流、電力は多種多様にわたり、また要求されるパフォーマンスも様々な仕様になってきたからだ。さらに、より高性能の電源を開発していくためには、受動部品の開発技術者との連携が欠かせない。そのときには、どのような理由で素子の何の特性を改善していくことが重要なのかを、回路設計技術者自身が理解しておかないといけない。こうした背景を踏まえ、スイッチング電源を基礎から学べる講座を、日経BP社は技術者塾として2015年12月4日に開催する(詳細はこちら)。本講座で講師を務める大分大学 工学部 電気電子工学科 教授の鍋島隆氏に、講座の狙いや効果、スイッチング電源を学ぶ際のポイントなどについて聞いた。(聞き手は、日経BP社 電子・機械局 教育事業部)

――スイッチング電源に関する知識や理解は、今後ますます必要とされるようになると聞きます。その理由は。

大分大学 工学部 電気電子工学科 教授の鍋島隆氏
大分大学 工学部 電気電子工学科 教授の鍋島隆氏

 産業用から家庭用まで電子機器の活用はあらゆる分野に広がっており、その数も種類もますます増えています。電子機器用電源としてスイッチング電源が当たり前となった今日、スイッチング電源に必要とされる電圧、電流、電力は多種多様にわたり、また要求されるパフォーマンスも様々な仕様になっています。そのような電源を開発、設計する技術者にも、かなりの力量とスピードが必要とされます。

 さらに、最近は、SiCやGaNが有望な半導体スイッチ素子として大いに注目されており、話題になっています。その背景には、スイッチング周波数の高周波化があります。この高周波化により、受動素子である磁性部品やキャパシタがボトルネックになってきています。

 今後、回路設計技術者がより高品位かつ高性能の電源を開発していくためには、受動部品を開発している技術者と密に連携を図っていくことが必要になります。そのときには、どのような理由で素子の何の特性を改善していくことが重要なのかを、回路設計技術者自身が理解しておかなければなりません。