ワールドテック講師(元デンソー)の加藤克司氏
ワールドテック講師(元デンソー)の加藤克司氏
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 クルマに課される排ガス規制と燃費規制は厳しくなる一方だ。パワートレイン、中でも心臓部であるエンジンの開発は、自動車メーカーにとって最重要テーマだ。必然的に、この影響は自動車部品や設備、電気・電子業界などにも波及していく。

 「技術者塾」において「自動車エンジンと制御部品の最新注目技術と今後のトレンド」の講座を持つ、ワールドテック講師(元デンソー)の加藤克司氏に、エンジンとエンジン制御システムに関する技術について学ぶ利点やポイントなどを聞いた。(聞き手は近岡 裕)

──エンジンとエンジン制御システムに関する技術は、今なぜ求められるのでしょうか。

加藤氏:昨今、大気汚染対策のための排ガス規制強化と合わせて、地球温暖化対策のために燃費低減規制〔二酸化炭素(CO2)低減規制〕がグローバルで進んでいます。しかも、これは今後さらに厳しくなると予想されます。

 これを受けて、各自動車メーカーは生き残りのために、ダウンサイジング化や電気自動車(EV)技術の進化など、排ガス低減や燃費向上に大きく寄与するパワートレイン系(エンジンを中心とする動力伝達系)の開発に力を入れています。

 こうした自動車メーカーの開発動向に対応するには、自動車部品や設備、電気・電子業界などの技術者も、エンジンと制御部品に関する最新の知識を習得しておく必要があります。具体的には、エンジンを中心とするパワートレイン系の今後の動向や、最新のエンジンの種類やエンジン制御システムの構造、特徴を理解し、これからどのような技術が求められていくかを把握することです。自動車関連企業にとって、これらの情報は生き残るために極めて重要なポイントとなります。

──エンジンとエンジン制御システムに関する技術は、今後ますます必要とされるようになるのでしょうか。

加藤氏:先に述べた通り、燃費や排ガス規制はグローバルで一層強化されていきます。従って、燃費向上や排ガス対策は、各自動車メーカーにとって最重要の開発テーマです。その中心はパワートレイン系、つまりエンジンやエンジン関連制御システムですから、これらの技術は今後ますます重要となります。

──エンジンとエンジン制御システムに関する技術を学ぶ上でのキーポイントを教えてください。

加藤氏:キーポイントは、各種のエンジンやエンジン制御システムの性能や特徴を十分に理解し、排ガス低減や燃費向上のためにどのような技術が必要になっていくかを把握することです。

──技術者塾の講座では、どのようなポイントに力点を置いて説明しますか。

加藤氏:グローバルな今後の規制動向を踏まえ、今後求められるパワートレイン系の技術、具体的にはガソリンエンジンやディーゼルエンジン関係技術、ハイブリッド車(HEV)や燃料電池車(FCV)の構造や特徴、そして今後のトレンドについて分かりやすく解説します。加えて、この分野での最近のトピックスである、ダウンサイジング技術やHEV技術、ドイツVolkswagen社の「排ガス不正問題」についても学びます。

 こうして、排ガス対策技術や燃費低減技術の動向や特徴、さらにエンジン制御システムの構成部品に関する最近の動きや特長について力点を置いて解説します。

 グローバルな視点では、今後、販売台数の拡大が期待される新興国向けの製品開発も重要となります。そこで、新興国向けの製品開発に関する留意点も解説します。

──想定する受講者はどのような方ですか。また、受講することでどのようなスキルを得られますか。

加藤氏:自動車関連企業に勤めており、今後この業界でどのような開発が重要になっていくかについて、ヒントをつかみたい人の参加を希望します。

 受講効果としては、パワートレイン系の今後の動向や、燃費向上技術、エンジン制御システム・構成製品の特徴、新興国向けエンジン関連製品開発の留意点などを学ぶことができます。いずれも、国内外の自動車メーカー向けにエンジン制御システムを開発してきた実務経験を生かし、実務に役立つ動向や技術の解説を心掛けます。