――前回のセミナー(2016年6月開催)にはなかった、新たに加わる内容があれば、教えてください。

 前回のセミナーに引き続き、金沢大学が国内の大学として初の試みとして実施している、石川県珠洲(すず)市における公道走行実証実験の最新情報について述べます。また、今回新たに、現在実施中の石川県金沢市における公道走行実証実験など様々な環境下における公道走行実証実験の概要と、そこから得られた知見・課題などについて紹介します。

――今回、特に力点を置いて説明するポイントは。

 自動運転では、人間が運転中に行っている認知・判断・操作にかかわる機能をオンボードセンサーおよびコンピューターによって代替させる必要があるため、多岐にわたる技術開発が必要となります。本講演では、国内の大学で20年近くにわたって市街地での自動運転に関する各種技術を開発してきた唯一の研究者が、これまでに培ってきた各種技術についてその概要を述べます。

 現在、自動運転システムではレーザー光線を用いて周辺環境の立体的な様子を捉えるLIDARが主に用いられています。LIDARを用いることで、比較的きれいな3次元空間を認識可能になっています。

 しかし、たとえ高性能なLIDARを用いたとしても、例えば周りに走行する車両の陰になって見えない場所が生じるなど、様々な要因によって理想的な3次元的環境を捉えることは難しいのが現実です。従って、時系列的なセンサーデータを用いて、信頼性のある情報抽出を行う手法が重要になります。

 本講義では、このような時系列的な各種情報処理アルゴリズムを解説し、外乱に強い各種認識を実現する基礎技術を取得していただきます。

――今回のセミナーは、どのような方々に参加いただきたいですか?

 金沢大学では、大学としては日本初となる市街地での自動運転自動車の公道走行実験を開始しました。この公道走行実験では、一般の自動車や歩行者などが行き交う通常の交通環境下において、信号機の認識・交差点の右左折などを含めて自動運転を行う国内でもまだ実施例のほとんどない取り組みとなります。現在は、その走行エリアを全長60kmまでに延長して実験を進めています。また、現在では交通量の激しい石川県金沢市内の街中をはじめとして、様々な場所での公道走行実験を行っています。

 本セミナーでは、この自動運転実験の概要についても説明予定です。自動運転に必要なセンサー情報処理やそのアルゴリズムについて知りたい方はもちろんのこと、自動運転技術全体について興味のある方にもぜひご参加いただければと思います。

――今回のセミナーを受講することで、受講者はどのようなスキルを身に付けたりできるか、ご紹介ください。

 自動運転に必要なセンサー情報処理、自動運転車の開発動向などについて習得することが可能です。