テクノサポートオーテス代表、ワールドテック講師の岡本邦夫氏
テクノサポートオーテス代表、ワールドテック講師の岡本邦夫氏
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 日本メーカーで樹脂に関する技術を学びたいという声が大きくなっている。軽量化とコスト削減、そして外観デザインの向上の全てを満たす有望な材料だからだ。製品の価値を高めるには、従来よりも一層上手に樹脂を使いこなさなければならない。

 「技術者塾」において「車載用樹脂製品のための樹脂材料の勘所の講座を持つ、テクノサポートオーテス代表、ワールドテック講師の岡本邦夫氏に、車載製品向けに樹脂材料の技術や知識を学ぶ利点などを聞いた。(聞き手は近岡 裕)

──車載製品向けに樹脂材料の技術や知識について学ぶ利点を教えてください。

岡本氏:自動車は今、低燃費と低コストを満たすために、小型・軽量化、そしてモジュール化のニーズがかつてないほど高まっています。このニーズを満たす1つの手段として、自動車部品の樹脂化が進んでいます。ところが、樹脂は金属に比べて軽くかつ成形しやすいという利点を持つ半面、高分子材料であるが故に品質面で課題が多く、設計や取り扱いに関して注意すべき点がかなりあります。従って、品質の良いクルマを造るためには、樹脂の基礎知識と設計・取り扱いのポイントを理解することが不可欠なのです。

──車載製品向けの樹脂材料の技術や知識は、今後ますます必要とされるようになるのでしょうか。

岡本氏:この技術や知識は今後もますます必要となります。自動車の小型・軽量化に向けた開発は加速しており、留まることはありません。加えて、クルマの外観デザインの魅力を高めるためにも、樹脂材料の技術や知識を身に付けることが重要です。今後は構造部材に樹脂を採用する例が増えてくると予想されるからです。

──車載製品向けに樹脂材料の技術や知識について学ぶ上でのキーポイントを教えてください。

岡本氏:製品開発や設計を担当する技術者は、マクロな視点で物事を捉える傾向があります。しかし、品質に優れた製品開発・設計のためには、材料物性というミクロな視点で物事を考えることが重要です。まずは、この点を理解することが大切です。

──技術者塾の講座では、どのようなポイントに力点を置いて説明しますか。

岡本氏:私はデンソーにおいて車載製品の開発・設計に数十年従事しました。そこで培った豊富な実務経験を生かし、アカデミックで平板な材料の解説ではなく、ものづくりの観点から解説します。すなわち、実務に生かせる樹脂材料のポイントや開発・設計上の留意点を分かりやすく説明したいと思います。

──想定する受講者はどのような方ですか。また、受講することでどのようなスキルを得られますか。

岡本氏:自動車分野はもちろんですが、電子・電気や産業機器など他の分野であっても、樹脂に関心を持っている技術者であれば受講対象者となります。彼らのうち、ものづくりの立場から樹脂について学びたいと考えている初級から中級レベルの方に役立つと思います。

 受講効果としては、樹脂全般についての知識を習得できます。また、講師からの一方的な講義ではなく、講師と受講者とのやり取りやグループ討議を通じて、ものづくりの観点から樹脂をどのように選び、どのように設計していけばよいかという感覚をつかむことができます。