オペアンプを基礎から十分に理解できていなければ、アナログ回路を設計したり応用したりすることはできない。AD/DA変換器、基準電圧発生回路、DC-DCコンバーターのPWM制御回路などの代表的なアナログ回路には、高性能なCMOSオペアンプが必要だからだ。日経BP社は、「アナログ回路に必須、オペアンプを完全理解」と題した講座を、技術者塾として開催する(講座の詳細)。本講座で講師を務める群馬大学 理工学部 電子情報理工学科 客員教授/東京理科大学 理工学部 電気電子情報工学科 嘱託助教の松浦達治氏に、講座の狙いや効果、オペアンプの理解のポイントなどについて聞いた。

群馬大学 理工学部 電子情報理工学科 客員教授/東京理科大学 理工学部 電気電子情報工学科 嘱託助教の松浦達治氏
群馬大学 理工学部 電子情報理工学科 客員教授/東京理科大学 理工学部 電気電子情報工学科 嘱託助教の松浦達治氏

――オペアンプを基礎から理解する効果について、教えてください。

 アナログ回路にとって、オペアンプは基礎の知識です。ナイキスト型A/D変換器やD/A変換器、ΔΣ型A/D変換器やD/A変換器を設計する上で、オペアンプは必須です。この他、基準電圧発生回路や、アナログI/Oの駆動力を上げるバッファー、パワーエレクトロニクス分野のDC-DCコンバーターのPWM制御回路など、いたるところにオペアンプが必要になり、その設計知識が求められるようになります。オペアンプ設計の基礎をしっかり理解し、オペアンプ設計に自信を持つことは、広くアナログ回路の設計技術を獲得する展望が開けると言えます。この講座では主に、CMOSによるオペアンプ、集積回路の内部に使うオペアンプの設計について説明する予定です。

――オペアンプに関する知識や理解は、今後ますます必要とされるようになるのでしょうか。

 半導体回路の微細化が進み、さまざまな処理がデジタルで行えるようになってきました。しかしながら、半導体回路の外部の物理信号は、温度、圧力、加速度などのアナログ量です。これらを扱うためにはA/D、D/A変換器が必要です。高性能A/D、D/A変換器を実現するには、高性能オペアンプが必要になります。センサーネットワークや自動車搭載の加速度センサーなど、高性能A/D、D/A変換器の前にゲインを調整するAGC(Automatic Gain Controller)やアナログフィルターが必要な応用は数多くあります。AGCやアナログフィルターを作る基本回路は、やはりオペアンプです。デジタルの時代だからこそ、このようなアナログの技術、なかでもオペアンプの回路技術はますます必要とされると言えるでしょう。