プラズマ技術をウオッチしたり、新たに調査・研究対象としたりする技術者・研究者が増えている。将来の少子高齢化社会に求められる安全・安心、健康の分野でブレークスルーを引き起こす技術として、プラズマへの注目が高まっている。日経BP社は「材料・医療・農業を革新するプラズマ最新技術」と題したセミナーを、技術者塾として2017年10月12日に開催する(詳細はこちら)。本講座で講師を務める堀勝氏(名古屋大学 未来社会創造機構人とモビリティ社会の研究開発センターくらし・健康基盤情報/大学院工学研究科電子情報システム専攻 部門長/教授)に、プラズマ技術のインパクトと本講座の見どころについて聞いた。(聞き手は、田中直樹)

――医療、農業、新材料などの分野で、プラズマ技術への期待が高まっています。

 少子高齢化社会を迎え、安全・安心、健康に対する新たな科学の勃興や大きなビジネスチャンスが出現しています。

 既存の科学や産業の枠を超えた破壊的イノベーションを起こすためには、未来社会へ大きな波及効果を与えるような科学現象を探索し、その黎明期に息吹をかけておくことが鍵であると考えます。

 このような可能性を生む新たな科学技術の1つが、プラズマとその応用科学技術にあります。この現象の基礎事項を理解しておくことで、新たな学術領域を先んじて修得し、将来のビジネスをいち早く切り開くことができると考えています。また、この分野では、材料、医療、農業など未来のイノベーションを開拓する新たな新学術分野が急速に伸びています。いまこそ、プラズマの基礎と応用をウオッチして、理解しておくことが、大きなビジネスチャンスを獲得するために重要だといえます。

 産業や医療への展開を牽引する科学技術は、その優位的な革新現象が見いだされると、瞬く間に研究者人口が激増します。プラズマ医療用の低温大気圧分野の発表数や研究者数は、プラズマ研究分野のみならず医科学分野で急激に増加しており、今後ますます注目される分野になることは間違いないでしょう。さらに、プラズマの農業応用やIoTを先導する新たなプラズマ材料プロセス科学技術の論文数の増加は目を見張るものがあり、未来を先導する科学技術であり続けることは間違いありません。