──例えば、ナノカーボンであればどのような頻出キーワードが見られるのですか。

坂田氏:「カーボンナノチューブ」や「グラフェン」「電解質」「吸着」といったものです。このうち、例えばグラフェンはこの5年で急上昇しています。その理由の1つは、ご存じの通りノーベル賞の受賞があったからです。しかし、これに加えて、いくつかの大量製造法が確立されているのも大きな理由の1つです。

 ところが、グラフェンの大量製造法が確立されたことは、専門外の人には意外に知られていません。研究室で使われているグラフェンの価格は高いため、今なお「グラフェンは価格が高くて特殊なものだ」と思い込んでいる研究者が多いのです。しかし、実際に論文分析をするとそんなことはなくて、最近、大量製造法の技術が急に伸びています。このことを知らないとせっかくのビジネスチャンスを失うことになります。

 このように研究者でも専門外のことは分からないことがたくさんあります。少し専門から外れただけでも、前の知識に引っ張られることはままあるのです。