機器開発を進める上で欠かせない熱設計。本稿では、熱設計の専門家であるサーマルデザインラボ 代表取締役の国峯尚樹氏が、熱の性質を理解するための基本知識をクイズ形式で紹介していく。日経テクノロジーオンラインでは2015年年末から2016年年初にわたって計3回、こうした熱設計の基本知識に関するクイズを出題した(第1回第2回第3回)。今回、この企画の第4回として、多層基板に銅の円柱棒を設けた構造の熱対策を考える。(記事構成は、日経BP社 電子・機械局 教育事業部)

 図のように、鉄材(A部とする)と樹脂材(B部とする)を層状に構成した多層版の中央に穴をあけ、銅の円柱を貫通させます(ここをC部とする)。各部の熱伝導率と寸法は以下の通り。

A部(鉄材):熱伝導率60W/mK、厚み5mm
B部(樹脂材):熱伝導率0.3W/mK、厚み0.5mm
C部(銅):熱伝導率370 W/mK、直径3mm

 A部とB部、C部で構成された材料の上面(20mm×20mm)に10Wの発熱が与えられ、下面側は20℃一定に保持されています。温度一定の面以外は断熱されているものとします。

 以下の2つのうち、熱源の温度を下げるために有効なのはどちらでしょうか。なお、銅の円柱(C部)の厚みtCは、A層の厚みtAとB層の厚みtBに追従するものとします。

  tCtAtB

(1) 鉄材を5mmから2.5mmにする
(2) 樹脂材を0.5mmから0.25mmにする