自動車の情報機器化が急ピッチで進行している。液晶ディスプレーが様々な場所に搭載されるようになり、インターネット接続による情報活用も大きく進んだ。安全運転支援システムの搭載も進んでおり、自動運転のための技術開発も加速している。こうしたシステムやモジュールには、どのような部品が使用され、今後はどのような機能や部品が導入されるのか。車載電子機器の中身を解き明かし、今後を展望するセミナー「車載電子機器の中身はこうなっている」(詳細はこちら)を、日経BP社は技術者塾として2016年8月31日に開催する。講師を務めるフォーマルハウト・テクノ・ソリューションズの柏尾南壮氏に、車載機器の市場トレンドや、車載機器を理解する上で押さえておくべきポイントなどについて聞いた。(聞き手は、日経BP社 電子・機械局 教育事業部)

――自動車や車載機器における半導体製品の重要性が増しています。

フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ ディレクターの柏尾南壮氏
フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ ディレクターの柏尾南壮氏

 自動車の原価に占める半導体部品の割合は10~15%と言われています。自動ブレーキ、接近警報センサー、各種安全面での装備の増加に伴って、半導体製品の搭載量は増加すると考えています。自動車の場合、不具合は人命にかかわるので、バックアップ部品が必要です。このため半導体製品もバックアップを用意する必要があり、員数(自動車1台当たりの半導体製品の使用個数)は増えると予想しています。

 また、スピードメーターなど、これまで機械部品が使われていたところでも、「グラスコックピット化」に伴って電子部品への置き換えが進んでいます。自動車は半導体を牽引する産業であることに疑問の余地はないでしょう。

 自動運転関連の技術は、当面、安全運転支援などで活用されるでしょう。例えば衝突防止装置は既に実用化されており、消費者に好評です。なお、自動運転そのものが実用化されるのは当分先になると考えています。技術的には15年ほどで実現可能と思いますが、国民の理解や法整備が追い付かないでしょう。また、どれだけの人が自動運転に興味を持っているかも不明です。