CAEの活用は“急がば回れ”

 電子機器では最終的に温度を許容範囲に収めることを目標としますが、温度はさまざまな要因の複合的な作用の結果です。例えば、ファンの風量や風速(熱伝達率)、圧力、材料物性値、接触熱抵抗、消費電力などが温度に大きく関わります。

 多くの設計者はこうした副次的なパラメーターの把握には消極的(というか方法を知らない)です。モデルや計算の誤差原因を追求したり、冷却能力を改善したりするには、こうしたパラメーターの把握が避けて通れません。

 現在の設計はCAE活用の時代になりましたが、シミュレーションによるバーチャル試作を進めるには、従来以上に実験や計測が重要になります。測定結果と合うように解析パラメーターをチューニングしてしまうことも行われていますが、このようにして得たパラメーターは汎用性がない場合がほとんどです。CAEの活用は“急がば回れ”です。

 本講座では、設計者、解析者に熱設計に必要な実験・計測を簡単な装置で実現する方法について解説・デモします。(談)