優秀な人たちをIoT関連の分野に集めていかないと・・・

――そこで登場するのがIoT検定というわけですね。IoT検定を受けることで、IoT関連の知識について自らの達成度を把握し、それを基にスキルアップを図ってもらうと。IoT検定はこれからのIoT時代を見通し、先手を打ったという感じなのでしょうか。

中島氏 むしろ遅れ気味だと思います。要素技術はもう、随分と進んでいますからね。経営やビジネスといった視点から考えても、IoTで新しい産業が始まっているものがあり、人的リソースが不足している問題に直面しつつあります。IoTに関わる事業を担う人材の技術水準を確かめて、それに合わせて適切な報酬が得られるようにすることで、優秀な人たちをIoT関連の分野に集めていかないと、IoTの潜在能力に見合った産業の発展を望めません。

 繰り返しになりますが、IoTで既に新しい産業は始まっています。家電製品に少し半導体チップを加えたらインターネットにつながってしまう時代です。スマートフォンはもうインターネットにつながっています。今、自分のいる位置から自分の好きなレストランへの経路案内や空席確認などは、既に実現していますよね。こうしたことも、IoTサービスの一例です。自動車配車サービスのUberも好例です。このように、既に始まっているサービスには、利用者が認識していないけど、実はIoTだったっていうのは数多く出てきています。そして、今後さらに増えていくでしょう。経営者がそれを知らないと、非効率なビジネスにばかり一生懸命に取り組んで、いつまでたっても利益が出ないってところに落ち込んでしまいます。

――そうすると、IoT検定は必ずしも技術者が対象ではありませんね。経営者、技術者、さらにはユーザーも含めたIoTに絡むような関係者すべて、対象になるともいえます。

中島氏 最終的にはそうなりますね。

――今見えているIoTと、5年後や10年後で見えているIoTは、内容が違ってくるのではないでしょうか。要素技術は進化し、IoTの応用分野はさらに広がり、そして新しい産業も生まれるでしょう。IoTは進化の途上にあると考えると、IoT検定で問う内容は頻繁に更新する必要があるように思えます。

中島氏 当然、更新を考えています。これは結構重要なことです。IoT検定で取得した認定証についても、いずれ更新してもらうことになるでしょう。

 IoT関連分野について、5年後ぐらいまでは何とか見えるけど、10年後はまた全く違うものが登場するかもしれません。ただし、時代が進んでも、残っていく必須条項は必ずあると考えます。IoT検定で今回用意する内容は、現在重要かつ10年先も重要な基礎的な知識を問うような形になっています。医療のIoTとか、自動車のIoT、家電を使用したIoT、電力のIoTなど異なる応用分野でも、共通の必須条項はあります。

 しかしながら、現在の形がそのまま10年後まで残っていくとは思えません。IoTに関わる人たちが次に成長するために、時代に合った新たな知識をIoT検定に加えていく考えです。

――IoT検定で合格すると認定証が交付されます。認定証を交付する意図は?

中島氏 検定や資格というものは、報酬と結びつかなければ本来は意味がありません。資格を取ったときに資格手当を増やすといった働きかけを企業に対して進めていきたいと思っています。

 さらに資格取得者がいることでIoT関連の事業を受注しやすくなるなど、取引上の効果も大きいと考えています。IoT検定の認定証取得者が何人いるので取引できるようになるとか、プロジェクト当たりの金額増の算定根拠にしてもらえるようにしたいですね。