IoT時代の到来によって、EMC設計の重要性が増している。IoT時代では、モノとモノを接続するためのRF無線通信技術が広く利用されるようになり、機器からの電磁ノイズとRF無線の干渉やノイズ耐性が大きな問題になるからだ。そこで、日経BP社は「IoT時代に向けたEMC設計の要点と課題 ~RF搭載製品開発における留意点」と題したセミナーを、技術者塾として2017年7月20日に開催する(詳細はこちら)。本セミナーで講師を務める浅井秀樹氏(静岡大学 電子工学研究所 教授)に、IoT時代に向けたEMC設計について聞いた。(聞き手は、田中直樹)

――IoT時代の到来によって、EMC設計が重要課題の1つとしてクローズアップされています。

静岡大学 電子工学研究所 教授の浅井秀樹氏
静岡大学 電子工学研究所 教授の浅井秀樹氏

 IoTはモノをつなぐ技術であり、無線通信技術を利用したモノとモノの接続が重要となります。高周波(RF)無線のような技術がさらに広く、頻繁に利用されることになります。機器からの電磁ノイズとRF無線の併用を考えた場合、互いの干渉やノイズ耐性が非常に重要になります。

 EMC設計は、センサーやそれらに付随するインターフェースを含めて考慮する必要があるでしょう。国際標準化の観点からも考える必要があります。さらにそれらが、いわゆる人工知能と融合され形で、第4次産業革命へと向かっています。ますます複雑化するIoT時代に向けたEMC設計が重要な課題の1つとなります。

 EMC設計は今後、ますます重要になります。IoT時代の到来により、すべてのモノがつながることが予想され、大量のデータ通信がより高速に、すなわち高周波帯で利用されることになります。高周波技術がより広く、より一般的に使われることを考えると、その重要性はますます高まると予想されます。上述のような問題が、非常にクリティカルなものとして顕在化することは必然です。

 また、昨今話題となっている無線電力伝送などでは、電力自体が大きくなるため、ノイズの影響もより大きくなるでしょう。無線通信の発展は、準ミリ波やミリ波の利用など高周波化へと進み、人体への影響も考慮しなければなりません。以前は、限られた3次元空間(領域)を高速・高精度に解析することが重要だったのですが、さらにその対象領域が広がると推測できます。ますます、計測・解析技術を駆使した処方箋の見極めが重要視されるようになると思います。