――IoT時代に向けたEMC設計のキーポイントや、この先の動向、および今後のニーズに対応するには何が必要か、教えてください。

 高性能機器からのノイズと無線通信の競合を、それに関わるセンサーやそのインターフェースを含めて整理することが必要と考えます。対象空間自体も大きくなります。利用形態も多様化します。例えば、スマートハウスなどの設計やセキュリティーを考えると、家全体の電磁環境を解析する場面が今後出てくるかもしれません。

――今回のセミナーで、特に力点を置いて説明するポイントは。

 今回は、上述の理由から、まずIoT技術の重要なポイントや高密度機器が影響するであろうキーポイントについて説明します。さらに、「その相互作用がどのようであるか?」について、私に加えて3人の専門家を講師に招き、解説していただく予定です。

――今回のセミナーでは、どのような方々に参加いただきたいですか?

 「IoT自体の何が問題なのか?」「電子機器からのノイズがどのように振る舞うのか?」「その両者がどのように干渉し合うのか?(妨害し合うのか?)」「どのようにして相互干渉を防ぐのか?」について、理解を深めていただければと考えています。

――今回のセミナーを受講することで、受講者はどのようなスキルを身に付けたりできるか、ご紹介ください。

 IoTとEMCの相互作用、相互干渉についての基礎知識を身に付けていただきたいと思います。

――今回のご講演内容やセミナー全体の内容に関連する、浅井先生の最近の研究内容についてご紹介いただけますか?

 私自身はこれまで、半導体やデジタル情報機器のノイズ問題、特に高速・高精度なシミュレーション技術について研究してまいりました。

 十数年前になりますが、PCクラスター方式による3次元電磁界シミュレーターを、ある大手企業との共同研究成果として世の中に出しました。これは、さまざまな電子機器設計、また当時のロボット設計にも適用されました。最近は、それをPCクラスターからマルチGPUシステムに移行し、さらにアルゴリズムを革新することで、大学の1つの研究室でも本格的に運用できるようになっています。現在も幾つかの企業と共同で研究できるようになっています。

 分野としては、これまでの技術を車載用設計に適用する方法について研究しています。以前に神経回路網の研究をしていた期間が長くあり、今後は解析・設計技術と人工知能技術の融合を目指したいと考えています。