iPhone 7に適用され、注目を集める半導体パッケージ技術「FOWLP」。IoT時代や5G時代に求められる半導体の要素技術として、熱い視線が向けられている。果たして、FOWLPは半導体パッケージ技術のデファクトスタンダードになるのか。鍵を握るのが、製造コストの大幅削減だ。日経BP社は「進化するFOWLP、IoT時代の半導体パッケージ革命」と題したセミナーを、技術者塾として2017年7月13日に開催する(詳細はこちら)。本講座で講師を務める西尾俊彦氏(SBRテクノロジー 代表取締役)に、FOWLPの今後について、製造コスト削減の切り札と目されているパネルレベルでの製造技術「FOPLP」を中心に聞いた。(聞き手は、田中直樹)

――前回のセミナー(2017年1月開催)では、「5G時代の半導体を実現するパッケージ革命」と題して、5G通信時代におけるIoT、モバイル、ネットワーク、データセンターに要求される性能を実現するための半導体パッケージ技術について解説していただきました。特に、FOWLP(Fan Out Wafer Level Package)という新分野のパッケージ技術の役割、活用方法について詳しく説明していただきました。今回、新たに加わる内容について、ご紹介ください。

SBRテクノロジー 代表取締役の西尾俊彦氏
SBRテクノロジー 代表取締役の西尾俊彦氏
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 先端技術を必要とする皆様や、先端技術に携わっている皆様は、「2020年を超え、2025年に向かって半導体のムーアの法則が終焉するのではないか」「今までの半導体の性能の伸びを期待して成長してきたエレクトロニクス製品がどうなるのか」という不安をお持ちだと思います。今回は、このような不安に対して「半導体業界はどのように対応しているのか?」「本当に大丈夫なのか?」という視点から、そのソリューションについての解説を追加します。

 本題のFOWLPですが、iPhone 7に適用された「InFO」の登場で、ハイエンドのモバイル端末へのパッケージの付加価値が理解されるようになりました。従来から適用されているPMIC(Power Management IC)などへの応用は当然として、今後はIoT時代、5G通信時代に要求される小型化、ミリ波対応に対しての期待が高まっています。

 半導体パッケージの主役の座を獲得するためには、コストを大幅に下げる必要があると以前から言われていますが、コスト削減のためにパネルレベルでの製造を業界全体で実現させようという動きが強くなってきました。今回はパネルレベルでの製造の実現について、課題を明確にして、それを克服できるかどうかの見通しと、その時間軸を解説します。

 さらに、半導体には様々な種類がありますが、「パネルレベルのFO(Fan Out)が現実になれば半導体全体のどこまでをカバーできるのか?」「半導体メモリーは、パッケージの低価格をとことん求められる上にパッケージサイズも大きいが、そこに適用できる可能性はあるのか?」といった疑問にお答えできるセミナーにしたいと思っています。