クルマ設計の分野で、モデルベース開発(MBD)の重要性がますます高まっています。自動運転を見据えた先進運転支援システム(ADAS)の開発やAIへの対応は、シミュレーションを中心に行う必要があるからだ。そこで、日経BP社は「自動運転を見据えたクルマ設計の開発効率向上策」と題したセミナーを、技術者塾として2017年6月23日に開催する(詳細はこちら)。本講座で講師を務めるdSPACE Japanにクルマ設計の開発効率向上とモデルベース開発について聞いた。(聞き手は、田中直樹)

――クルマ設計とモデルベース開発について、この1年の市場動向、応用動向をご紹介ください。

 モデルベース開発(MBD)ツールの販売がHILS(Hardware-In-the Loop-Simulation)、RCP(Rapid Control Prototype)を中心として伸びています。

 自動運転を見据えた先進運転支援システム(ADAS)の開発や人工知能(AI)への対応は、シミュレーションを中心に行う必要があるため、MBDの重要性がますます高まっています。また、VEOSを中心とする仮想環境での開発にも、関心を持っていただいています。

 自動車技術会主催の「人とクルマのテクノロジー展」だけではなく、ET(Embedded Technology)展や組込みシステム開発技術展(ESEC)においても、MBD関連の講演トラック・参加人数が増加しており、MBDに対する関心が高まっています。自動車関連メーカーを中心としたMBDの展開に対し、他業種の方々もMBD展開に興味を持っていただいています。

――クルマ設計とモデルベース開発について、この1年の技術動向、技術トピックスをご紹介ください。

 自動運転実現を目指す中で、システムの複雑化に対応するために、ADASは集中型のアーキテクチャーに移行し始めており、シミュレーションの重要性が一層増しています。

 MBDのRCPでは、大量の情報を素早くかつ的確に演算子、制御に返す仕組みが必要となり、処理能力の強化やCPUのマルチコア化が求められています。

 また、ディープラーニングに代表されるAIを自動運転に取り入れ、クルマが自ら適切な制御をその都度学習し、それをその後の制御に反映できるようにするための環境が、必要となります。さらに開発の検証環境にも、GPS情報を受信して処理するGNSSレシーバー機能など、さまざまな高い処理機能が求められています。