有機ELディスプレーのビジネスと技術の動きが活発だ。これをビジネスの好機と捉え、ものにするためには、世界の動きを知り、自らの強みと商機を正しく理解することが重要である。そこで、日経BP社は「世界の有機ELディスプレー最新動向と日本企業の商機」と題した講座を、技術者塾として2017年5月31日に開催する(詳細はこちら)。本講座で講師を務める服部寿氏(分析工房 シニアパートナー)に、有機ELディスプレーの世界の動向や、ビジネスをものにする上で重要なことなどを聞いた。(聞き手は、田中直樹)

分析工房 シニアパートナーの服部寿氏
分析工房 シニアパートナーの服部寿氏

――有機ELディスプレーへの投資が活発です。しかし、海外中心の動きのため、日本にいると見えにくい面があります。今、有機ELディスプレーで何が起こっているのか、簡単にご紹介ください。

 有機ELディスプレー搭載のスマートフォンやタブレット端末、ウエアラブル端末の市場が急速に伸びています。米Apple社は2017年に「iPhone」に有機ELを採用する計画です。また、ディスプレーのフレキシブル化も進んでいます。

 大型有機ELテレビの普及も進んでおり、主に大型パネル向けにインクジェットによる塗布プロセスの開発が急ピッチで進められています。この開発が実を結べば、液晶よりも低価格なパネル製造が可能となるでしょう。将来を見越して、韓国や中国では大型投資の計画が進んでいます。

 有機ELディスプレーがフレキシブル化されると、基板は従来のガラスからプラスチックになり、新しい封止技術が必要になります。透明配線もITOから新材料に移行します。フレキシブル有機ELディスプレーは、基本性能も生産プロセス技術・生産管理も未発達の部分がまだ多く残されています。

 本講座では、有機ELの基礎技術や特徴、これまでの技術開発の経緯と残された課題、ディスプレーの応用動向、現状の生産プロセスと課題、政府プロジェクトなど、アジアの有機ELディスプレーの動向を網羅的に分かりやすく解説します。これにより、産業全体から各社の事業の位置付けや時間軸までを的確に捉えられるようになります。