プラズマ医療の研究とその応用に関する成果が次々に生まれている。そこで、日経BP社は「医療を革新するプラズマ技術」と題したセミナーを、技術者塾として2017年3月29日に開催する(詳細はこちら)。本セミナーで講師を務める堀勝氏(名古屋大学未来社会創造機構/大学院工学研究科電子情報システム専攻教授、プラズマ医療科学国際イノベーションセンター長)に、プラズマ医療の研究とその応用に関する動向や、今後のニーズに対応するために必要なことなどを聞いた。(聞き手は、田中直樹)

――プラズマ技術の医療応用について、この1年の市場動向、応用動向をご紹介ください。

 急拡大しています。それは、2007年に始まったプラズマ医療国際会議の発表件数を見ると、よく分かります。第1回の2007年の発表件数は60件でしたが、第6回の2016年の発表件数は341件となりました。この10年間で研究者人口は激増しています。特に、2014年と2016年において日本の発表件数は群を抜いてトップであり、日本が世界をリードしています。また、がんを対象にしたプラズマ国際会議も発足し、2017年で第4回を数えます。

 プラズマ技術の医療への応用は多岐にわたりますが、特に、がん、止血、創傷、スキンケアを対象にした研究が、活発に行われています。臨床に向けた基礎研究において日本はトップを走っていますが、強い法規制のため、いまだに非臨床試験にとどまっています。一方、ドイツや米国では、既に人を対象にした治療が行われています。

――プラズマ技術の医療応用について、この1年の技術動向、技術トピックスをご紹介ください。

 がんを対象にした研究において、プラズマの直接照射技術と間接照射技術の2分野に大別されるようになりました。特に、日本で見いだされた、プラズマ活性培養液の投与(間接照射技術)によるがん治療への展開は、この1年で急速に研究件数が増え、その機序の解明に関する研究に大きな進展がみられます。