アナログ回路の設計技術が大きく変わりつつある。IoT(Internet of Things)市場の立ち上がりによって、アナログ回路製品に求められる要件が変わってきたからだ。日経BP社は「アナログ回路シミュレーションを生かす、FETモデリングのコツ」と題したセミナーを、技術者塾として2016年3月24日に開催する(詳細はこちら)。本講座で講師を務める群馬大学大学院 理工学府電子情報部門 客員教授/モーデック 最高顧問の青木均氏に、FETモデリングのポイントなどについて聞いた。前編と後編(2月1日公開予定)の2回にわたって紹介する。(聞き手は、日経BP社 電子・機械局 教育事業部)

――FETモデリングのセミナーは昨年に続いての開催になりますが、前回のセミナーにはなかった、新たに加わる内容をご紹介ください。

 今回は、SiC-JFETやGaN-HFETなど化合物系のパワー半導体のモデリング、高周波等価回路モデリングについて詳しく解説したいと思っています。いずれも、主に国内で多く使用されている、または今後使用されるFETデバイスです。また、デザインセンタリングのための統計解析モデリングについて、高周波モデリングで行う考え方も紹介します。

 前回のセミナーでは、できるだけ広く様々な種類のFETについて言及し、応用についても概要をお話ししました。基礎事項を中心に説明するのは、今回も同じです。

――今回のセミナーでは、どのようなポイントに力点を置いて説明される予定ですか。

 前回の質問内容で多かったのは、実践についての内容でした。今回はこれを踏まえて、基礎的な理論を実践でどのように生かすかについて、逐次実例を挙げながら“生きたモデリング技術”に力を注いだ説明を心がけます。

――本セミナーを受講することで、受講者はどのようなスキルを身に付けることができるか、ご紹介ください。

 デバイスモデリングのセミナーですが、その周辺技術、例えばシリコンデバイス物性、直流や容量やSパラメーターなどの測定、抽出アルゴリズムについても併せてお話しします。従って、モデリングの全容が分かります。ですから、自然とそれらの周辺技術スキルも身に付けることができるでしょう。

――どのような方々に参加いただきたいですか。

 デバイスモデリングに関しては全く知らなくても、「知りたい」という意欲のある方を歓迎します。特に、アナログ回路設計関係に携わっている方にとっては最適だと思います。企業の技術者にも、研究機関の研究者にも、大学院の学生にも、また新人にもベテランにも参考にしていただけるように努力いたします。現在デバイスモデリングを実践されていて、不明なことがある方にも満足いただけるようにしていきます。電気電子工学を勉強した、半導体デバイスの基礎を学校の授業で学んだ経験を持つ方なら、理解できるように解説していきます。