「アンテナ設計の仕事の依頼が急増している」。無線通信機器(ワイヤレス通信機器)の設計を手掛けるアンプレット 代表取締役社長の根日屋英之氏は、こう打ち明ける。アンテナ設計の文献を読むと難しい式がたくさん出てくるため、とても難解に感じる。こうした“壁”を取り払うために、日経BP社は根日屋氏を講師に迎え、「ワイヤレス機器開発に欠かせない、アンテナ設計の基礎講座」と題したセミナーを、技術者塾として2016年3月22日に開催する(詳細はこちら)。根日屋氏に、アンテナ設計のポイントなどについて聞いた。(聞き手は、日経BP社 電子・機械局 教育事業部)

――アンテナが用いられる無善通信機器の市場動向に変化が見られます。

 UHF帯RFIDの市場の拡大を感じます。私の会社はアンテナの受託設計をしておりますが、2015年度は、920MHz帯のアンテナの受注業務を非常に多くいただきました。

――アンテナ設計に求められる技術も変わってきたと聞きます。

 アンテナ単体の設計からアンテナの設置方法まで、設計の概念が広がったように感じます。アンテナの偏波を工夫することによって、マルチパスなどの通信品質を劣化させる要因を減らそうという試みの技術が注目されています。

――アンテナ設計において、今後の市場要求に対応するために必要なことを、教えてください。

 電磁界シミュレーターがアンテナ設計に利用される便利な時代になりました。しかし、そのシミュレーション結果が正しいかどうかを見極めるには、アンテナの基本動作を理解することが大切です。今後のニーズに対応するには、アンテナとはどのようなものかを、まず知ることが大切です。