あけましておめでとうございます。2016年12月の宇宙ビジネス通信をお届けします。昨年の締めくくりにふさわしく、日本においても大企業、ベンチャー企業共に宇宙ビジネスに向けて大きく動き始めていることを感じられる月となりました。

1位「宇宙旅行機ベンチャーにANAとH.I.S.が出資」

 2016年12月1日、ベンチャー企業PDエアロスペースは、H.I.S.、ANAホールディングスと資本提携し、宇宙旅行をはじめとする宇宙輸送の事業化に向けて取り組んでいくと報じました(ニュースリリース)。

 PDエアロスペースは、宇宙輸送インフラの構築に向けて、宇宙旅行機の製造を含めた事業を展開している名古屋市に拠点を置くベンチャー企業です。PDエアロスペースは、現在世界初となる飛行機用のエンジンであるジェットエンジンとロケット用のエンジンであるロケットエンジンを1台のエンジンで実現したハイブリッドエンジンと、完全再使用型の弾道宇宙往還機の開発に着手しています。

 2015年12月号でも紹介しましたが世界でも類似の取り組みがあります。英国ベンチャー企業Reaction Engines社の無人機「Skylon」のハイブリットエンジン「Sabre」です。英国ベンチャー企業Reaction Engines社は、BAE systemsから出資を受けています。 このPDエアロスペースの業務提携により、民間主導による宇宙機開発を推進し、2023年12月の商業運航開始を目指しているといいます。PDエアロスペース社の宇宙旅行機の開発には、ANAホールディングスが、旅客機の運航などのノウハウを活かし、また、H.I.S.が宇宙旅行、宇宙輸送サービスの販売を担うといいます。

 宇宙旅行には、安全生向上、コスト削減、スペースポートの国内拠点の確保など国内発の宇宙旅行事業の開始には、まだまだ越えるべきハードルも多いようですが、エンターテイメント事業、宇宙服などのアパレル事業、宇宙食事業、保険事業などの事業と親和性が高いので、宇宙旅行事業は、これらの派生事業ともに発展していくでしょう。

PDエアロスペース社の宇宙機のイメージ
PDエアロスペース社の宇宙機のイメージ
(出所:PDエアロスペースサイト)