2016年7月の宇宙ビジネス通信をお届けします。7月は米国を中心にした民間発の宇宙ビジネスの取り組みが多く見られました。

1位「Space X社が再利用ロケットの燃焼試験に成功」

 2016年7月28日、米国宇宙ベンチャー企業Space X社が一度打ち上げに使われた第1段ロケットの再燃焼試験に成功したと複数の報道機関が報じました(NASA Spaceflight.comのページ)。は、この第1段ロケットは、同年5月6日にスカパーJSATの通信衛星「JCSAT-14」を打ち上げに使われたものです。その後、垂直着陸機能により回収されました。。

 この燃焼試験は、米国Space X社のフロリダ州McGregor test centerで行われました。打ち上げ時の第1段ロケットの燃焼時間と同じ2分30秒での燃焼試験を実施したもので、再利用でも第1段ロケットの信頼性に問題がないことを裏付けました。過去に、回収後の第1段エンジンにて短時間の燃焼試験の実績はありますが、今回の燃焼試験は、米国Space X社のロケット打ち上げコスト削減策を大きく前進させるものとみられます。

 米国Space X社は、今回再利用ロケットの2分30秒の燃焼試験の詳細を明らかにしていません。例えば、回収した第1段ロケットのどの部分を修理したのか、どの部品や部材を交換したのか、燃焼試験において何を計測していたのかなどは不明です。しかし、この燃焼試験により得られたノウハウには、大きな意味があり、競合他社を大きく突き放すものになっているでしょう。

 米国Space X社は、同年9月もしくは10月に予定されているFalcon9の打ち上げにこの再利用の第1段ロケットを使用することになっているといいますが、どの衛星に採用されるのかは明らかにしていません。この再利用による打ち上げが成功すれば、世界初の偉業となります。この動きに対して、同様な垂直着陸機能を有するJeff Bezos率いる米国Blue Origin社は、どのような対抗策を講じるでしょうか、楽しみです。

SpaceX社の再利用第1段ロケット燃焼試験の様子
SpaceX社の再利用第1段ロケット燃焼試験の様子