2016年3月の宇宙ビジネス通信をお届けします。3月は、応援の思いを込め、日本のロケットベンチャーのニュースを1位にしました。

1位「ホリエモンのロケットベンチャー、2019年に打ち上げへ」

 2016年3月24日、ホリエモンこと堀江貴文氏は、自民党の政調、宇宙・海洋開発特別委員会 宇宙総合戦略小委員会で、「民間企業での小型ロケット開発と商業化」と題して、インターステラテクノロジズの計画について説明を行ました(ニュースリリース)。それによると、2019年の自社製ロケットの打ち上げを目指しているといいます。民間企業が単独でロケットを開発し、打ち上げるのは国内初となります。

 インターステラテクノロジズは、2016年1月号でも紹介しましたが、ホリエモンこと堀江貴文氏創業の企業であり、CEO稲川貴大氏のもと、超小型衛星の打ち上げロケットなどの開発と打ち上げサービスを手掛けようとしている日本を代表する宇宙ベンチャー企業です。

 2016年3月6日には、1t級ロケットの50秒の燃焼試験に成功し(同社のニュースページ)、2016年3月14日には、1t級ロケットの100秒の燃焼試験に成功しています(同社のニュースページ)。これにより、高度100kmへのサブオービタル飛行に必要な推進系を獲得することができたといいます。

 インターステラテクノロジズの小型ロケットは、全長7m、重さ700kg程度で、高度100km以上の宇宙空間まで上昇することができるといいます。これにより超小型衛星の打ち上げビジネスに参入する計画です。打ち上げ費用は数千万円と言われています。年間十数機の打ち上げを目指し、商業化を狙います。

 このニュースのポイントは、2つあります。まずは、日本においても、ロケット開発の担い手が政府から民間に移るということです。今後、日本でもロケット開発と打ち上げを行う宇宙ベンチャー企業がさらに台頭してくることが予想され、コスト競争、付加価値化、差別化による顧客獲得が激化するでしょう。

 もう一つは、堀江貴文氏というITベンチャー企業出身者が、キーパーソンとなっていることです。米国、欧州などでも宇宙ベンチャー企業のキーパーソンは、大部分がITベンチャー企業の出身者です。IT業界における開発手法、資金調達力、意思決定力などがやはり、成功の鍵といえるのではないでしょうか。

インターステラテクノロジズの1t級ロケットの100秒燃焼試験の様子
インターステラテクノロジズの1t級ロケットの100秒燃焼試験の様子
(写真:同社のWebページより)