本質に迫れると、何(どのような「事物の本質に準じる考え」)が見えるのか。

 前回、ビジネスの本質に迫れると見えるものとして挙げた、顧客価値を生まない業務を削減すべきであるという考えは、普通、そんなの当たり前と思われるものだ。コストダウンをすべきという考えと混同されるものでもある。

迫れば、深くなる

 しかし、「顧客価値を提供すること」というビジネスの本質に迫れると、顧客価値を生まない業務を削減すべきであるという考えは、あくまでも企業が生み出す顧客価値を高めて売上アップを実現するものであることが見える。よって、結果的にしばしばコストダウンに繋がるものではあっても、コストダウンをすべきという考えと混同することはない。

 企業というものには、例えば内輪の論理で作られた人事制度の運用のように、顧客価値を生まない業務が山のように存在することも見える。

 さらに、コストダウンに取り組む企業はどこにでもあるが、顧客価値を生まない業務の削減をやる企業はまれであることも見える。

 つまり、「顧客価値を提供すること」というビジネスの本質に迫れると、顧客価値を生まない業務を削減すべきであるという当たり前のことが、普通より、はるかに深く見えるのである。