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スポーツをテクノロジーする

「いちについて」「よーい」「ドン」

“スタート”をテクノロジーする・第1回[連載第21回]

  • 北岡哲⼦=⽇本⽂理⼤学特任教授
  • 2017/03/01 05:00
  • 1/3ページ

 幼稚園児から100歳を超えたお年寄りまで、誰もが慣れ親しみ万人に共通であるこのスタート合図は、いったい誰がいつどのように決めた言葉なのでしょうか。国際的には、もちろん別の表現です。打ち上げ花火のように盛大で鮮やかな輝きを世界中に放ちながら終わってしまったリオ五輪で、静寂の中に響く「On your marks!Set!」のスタート合図の瞬間。読者の皆様の記憶にも新しいかと思います。

 この「よーい」「ドン」のルーツへの疑問は、ある取材中に浮かびました。スターターの神様と称され、1964年、世界新記録をボブ・ヘイズ(Bob Hayes)が樹立した東京五輪男子100m走決勝(図)でピストルを撃った、佐々木吉蔵氏の取材を始めたことがきっかけでした。

図 東京五輪100m走のスタート地点
ヘイズ(Bob Hayes、金メダリスト)氏、ヒュゲロラ(Enrique Figuerola Camue、銀メダリスト)氏、佐々木氏のサインが入っている。紙焼きを筆者が撮影。
[画像のクリックで拡大表示]

 この連載「スポーツをテクノロジーする」では前回まで、日本の技術の素晴らしさと、それを生み出した日本の小さな企業が世界をけん引していることに重点を置いて説明してきました。今回からは、スターターの神様といわれた個人にスポットを当てながら、「スタートをテクノロジーする」を進めていきます。

 まず冒頭の「よーい」「ドン」についてのエピソードから、スターターの物語を始めたいと思います。

 佐々木吉蔵氏は晩年、1978(昭和53)年に「全国陸上競技スターター研究会」を創設され、後輩競技者のパフォーマンス向上のために貢献されました。本執筆に当たって、同研究会や、弟子に当たる野﨑忠信先生のご協力により、ご提供いただいた多くの会誌や資料を読みあさりました。何とそこに「よーい」「ドン」の起源についての記載がありました。その、概略を紹介させていただきます。

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