──技術者塾の講座では、どのようなポイントに力点を置いて説明しますか。

古谷氏:品質造り込みの基本を習得する際に、ポイントは3つあります。

[1]原理原則を正しく理解する。
 原理原則は「当たり前」のことが多く、「そんなことは知っている」と考えて、謙虚に理解を深めることを拒絶する人が少なくありません。しかし、原理原則を無視した場当たり的な活動を繰り返していては、成果が出ないばかりか、企業で働く人材のスキルも向上しません。現場はどうあるべきなのか、品質を確保するためには何をすべきなのか、改めて原理原則を正しく理解することが重要です。

[2]「3現主義」に徹する。
 品質造り込みには、徹底した「3現主義」が必要です。すなわち、「現場」「現物」「現実」を正しく把握した上で、原理原則から何がどう乖離しているのかを考えて改善することが大切になります。ただし、原理原則を重視しすぎると、「べき論」が横行してしまいます。それを避けるためにも、現場、現物、現実をベースに、どのように実務に落とし込むかを考えることがポイントとなります。

[3]論理的思考を重視する。
 問題解決は論理的に考える必要があります。日本企業に横行している「注意の徹底」や「(実態の無い)再教育の実施」では問題は解決しません。3現主義で事実を正しく把握し、論理的に根本原因を追究して、どうすれば解決するのかを考える一連のトレーニングを日頃から行っていくことが重要です。

──想定する受講者はどのような方ですか。

古谷氏:本講座の内容は品質部門の社員はもちろん、ものづくりに携わる方であれば、どなたでも役立つはずですが、次の方々を特に想定しています。[1]ある程度ものづくりの実務経験がある中堅クラスの方々、[2]小手先の手法論ではなく、考え方を中心にお話ししますので、部門の若手・中堅クラスを指導される管理者や監督者の方々、です。

──受講することでどのようなスキルを得られますか。

古谷氏:次のような受講効果が得られます。まず、当たり前のことが当たり前にできる現場をつくるための基本を正しく理解し、強い現場を実現するための実践的な方法を学べます。加えて、当たり前のことが、なぜ当たり前にできないのか、その難しさを理解して正しく取り組む方策を知ることができます。

 さらに、品質問題の発生を未然に防ぐべく、品質造り込みの方法と実践のポイントを理解することができます。また、品質改善のための基本的な考え方と実践の方法、そして実践のポイントを理解することができます。そして、品質を確保するために現場で何をする必要があるのかを、具体的な実践の方法と実践のポイントを理解することができます。