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どうした?!日本メーカーの品質

「今、多くの日本企業の品質が落ちています」

ジェムコ日本経営 本部長コンサルタント 古谷賢一氏

  • 2015/12/07 00:30
  • 1/2ページ
ジェムコ日本経営本部長コンサルタントの古谷賢一氏
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 「高品質」と評されてきた日本メーカーの自動車で、大規模リコールが止まらない。日本メーカーの製品の品質に異変が生じているのではないか?──。「技術者塾」において「品質造り込みの基本と実践」の講座を持つ、ジェムコ日本経営本部長コンサルタントの古谷賢一氏に、今、品質を造り込むための基本を見直す理由などを聞いた。(聞き手は近岡 裕)

──自動車業界で大規模リコールが止まりません。日本メーカーの製品の品質が落ちているのでしょうか。

古谷氏:大手企業A社の話です。私がコンサルティングで訪れたところ、A社の経営者は深刻な顔つきで「我が社の力が衰えている」と切り出しました。ところが、データを見る限りA社の生産性は年々向上し、品質も昔に比べれば良くなっているように見えます。不思議に思った私は、その経営者の真意を探るべく「どういうことですか?」と尋ねました。

 すると、その経営者は「昔はすぐに解決できたレベルの問題を、今の連中はなかなか解決できない」と答えました。さらに、「現場で生産や改善をしていても、その行動の意味や本質を誰も理解していない。ただマニュアル通りに進めるか、先輩社員からの口述伝授に従うか、先輩社員の行動を見よう見まねで行っているだけ。これまで大きな問題が起きていないのは、たまたまであって実力ではない」と嘆くのです。

 例えば設備にトラブルが発生した時、かつてA社では、ベテラン社員が長年の経験や知識を基に「どこを見ればよいのか」について、その設備を導入した背景や、その設備で行っている処理の原理などを踏まえて判断していました。ところが、そのベテラン社員の後輩のそのまた後輩の後輩くらいになった今、現場ではマニュアル的に「どこを見ろ」という情報だけしか伝授されていない。そのため、少しマニュアルから外れた問題が発生すると、自分たちの力ではなかなか解決することができないというのです。

 「本来なら当たり前に知っておくべき品質造り込みの基本を、誰もきちんと理解していない。自分は理解しているという顔をした社員も分かったような気になっているだけだ」というのが、A社の経営者の悩みでした。

 さて、こう悩むのはA社の経営者だけでしょうか? 私が知る限り、これは規模の大小を問わず、多くの日本企業が現在抱えている悩みだと思います。この悩みを解消するために必要不可欠なのが、「品質造り込みの基本」です。

 品質造り込みの基本とは、品質をきちんと確保したものづくりを実現するためのイロハです。品質を維持するために、会社内にある技術やノウハウの活用方法や考え方のことです。各工程で何をしないといけないのかを考えるQC(品質管理)工程図の考え方を手始めとしています。単に目先の品質を高めるだけではなく、組織の技術やノウハウを蓄積して高品質なものづくり企業となるために、現場にいる社員からマネジメントに至るまで押さえておくべき基本中の基本なのです。

──品質造り込みの基本は、今後ますます必要とされるのでしょうか。

古谷氏:品質造り込みの力は、その企業の「総合力」です。社員個人の品質に対する理解はもちろん、組織の品質を確保する能力までの全てが問われます。従って、即効性のあるカンフル剤とは違い、飲めばすぐ効くというものではありません。飲み続けていると、ゆっくりとではあるけれど、確実に体質が改善する漢方薬的な効果が期待できるものです。

 日々発生する不具合に対しては、止血するように即座に是正策を施すことが必要です。そのために、即効性のある改善手法を習得する必要があります。しかし、これと同時に中・長期的な体力(品質造り込みの力)をつける取り組みも大切です。これらは品質を確保するための両輪となるからです。

 品質造り込みの力が弱まっても、日々の生産や出荷は止まることなく続いています。そのため、品質造り込みの力が弱まっていても、それに気が付きにくいということが難点です。今、多くの日本企業では、ベテラン社員が大量に退職して急激な若返り現象が起きています。これにより、過去の経験やノウハウの散逸が現在進行形で発生しています。「気がついた時には手遅れ」となってしまわないように、品質造り込み力の見直しは喫緊の課題なのです。

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